債務整理で借金問題を解決した事例公開

債務整理入門

借金がかさんでしまい、返済が苦しくなった場合に、弁護士による債務整理を行うことで大きく解決することがあることをご存知でしょうか。

今回は、債務整理によって借金問題を解決できる場合について、債務整理には詳しくない方にもわかりやすいように、具体例を用いて、解説をしてみましょう。下記4つのケースは、債務整理でよくある事案を想定しています。

1.ケース(1):仕事のために車が必要だったAさんの場合

1-1.相談時の状況

Aさん(男性:派遣社員・29歳)は、以前勤務していた会社が、業績不振で倒産してしまい、現在派遣社員として働いています。

派遣社員になってから、以前よりも収入が減ってしまったため、それまでに利用していたクレジットカードの返済が難しくなりました。

そこで、消費者金融会社から借りてカードの利用分を返済するようになったのです。

Aさんは、消費者金融会社4社から計140万円の借金、そして、クレジットカードの利用残高が80万円という状況で相談に来られました。

Aさんは、自己破産も検討しましたが、5年前に30万円で購入した中古車を仕事に使っており、破産すると車を失うのではないかと考え、これまで弁護士に相談することもためらっていました。

1-2.自己破産をすると所有している車はどうなるか

自己破産をして免責決定が出されると、それまでの債務を免かれます。そのかわりに、破産をした時点で所有していた財産は原則として全て売却するなど換価処分して、債権者に分配しなければなりません。

しかし、生活をするのに最低限必要な財産は、自由財産と呼ばれ、破産しても手元に残してよいことになっています。

Aさんが使用していた車は、初年度登録から10年以上経過していたため、弁護士が複数の中古車買取業者に査定依頼をしたところ、いずれも10万円以下という結果でした。その資料を提出し、裁判所に自由財産として認めてもらうことができました。

ご相談いただいてから3ヶ月程度で、破産手続開始決定(同時廃止)から免責決定まで得ることができて、Aさんの借金はゼロになり、車は手元に残すことができました。

1-3.自己破産後の状況

現在Aさんは、借金返済の不安が無くなったため、以前よりも仕事に集中できるようになり、少しではありますが、給与も上げてもらったそうです。

今は、車を買い換えたいという希望を持ち、働きながら少しずつ貯金もできるようになりました。

 

2.ケース(2):結婚して住宅ローンを組んだBさんの場合

2-1.相談時の状況

Bさん(男性:会社員・32歳)は5年前に結婚し、4歳の子供がいます。子供ができたことをきっかけに、2,500万円の住宅ローンを組んでマンションを購入しました。

ところが、昨年、Bさんは転職により収入が減ってしまいました。

Bさんが転職した後、奥様もパートで働きながら、何とか住宅ローンを返してきましたが、生活費が足りないときや冠婚葬祭で突発的な出費があったときなどにカードローンを利用するようになりました。

そして、カードローンの残高は300万円を超えてしまい、住宅ローンとカードローンの返済の合計額が月15万円程度になってしまったため、返済が困難になりました。

Bさんは、もうマンションをあきらめなければならないのか、破産するしかないのか、という思いで弁護士のもとに相談に来ました。

2-2.個人再生の利用

Bさんによると、マンションを売却しても、現在の相場ではローンの残額に足りないため、住宅ローンが残ってしまうとのことでした。

そのため、マンション売却後の残った住宅ローンやカードローンを返済しなければならないのに、さらに、新しく住む家の家賃も払う必要がでてきますが、そうなると今の収入ではまず支払いを続けることが無理だということがわかりました。

Bさんは、弁護士と相談の上、個人再生手続を利用することにしました。

個人再生手続とは、裁判所に債務の返済をやり直す再生計画を認めてもらって、借金を大幅に減額してもらう制度です。

個人再生手続の特徴は、住宅資金特別条項があることで、住宅ローンを除いたその他の借金を大幅に減額することで、何とか住宅ローンを返済し、家を売らなくて済むようにできる点にあります。

個人再生手続には、小規模個人再生給与所得者等再生の2種類の手続きがありますが、Bさんの場合は、より返済額が少なくて済む小規模個人再生を選択しました。

*給与所得者(いわゆるサラリーマン)は給与所得者再生しか選択できない、と勘違いされている方がおられますが、サラリーマンであっても、小規模個人再生を選択することは可能です。

Bさんの場合、小規模個人再生の申立てから再生計画の認可まで約6ヶ月かかりましたが、住宅ローン以外の借金は100万円に減額され、これを3年間で返済することとなりました。

住宅ローンについては一切減額が認められていませんが、住宅ローン以外の借金を場合によっては8割~9割ほど大幅に減額してもうらうことで、全体の支払い負担を大きく軽減できるところに個人再生のメリットがあります。

2-3.個人再生後の状況

3年間は、住宅ローンと合わせて月々10万円の返済となるので、大変だったようですが、Bさん夫婦は力をあわせて何とか再生計画通りの返済を完了し、現在は住宅ローンのみの返済を続けています。

個人再生を利用することで、住宅を手放すことなく債務整理を行い、借金問題を解決した典型的な例でした。

 

3.ケース(3):自己破産できない事情のあったCさんの場合

3-1.相談時の状況

Cさん(女性:会社員・30歳)は、大学卒業後、正社員として仕事の現場の最前線で働いていましたが、5年前に体調を崩し、退職しました。

しばらく通院を続けた後、派遣の仕事に再就職しましたが、給与は以前の半分程度になってしまいました。

Cさんは体調を崩す前からクレジットカードをリボ払いで利用していて、その返済や生活費のために銀行カードローンや信販系カードローン、さらに、消費者金融からの借金を重ね、5社の残高の合計が300万円を超えるようになりました。月々の返済額も10万円を超えてしまいました。

Cさんは、自己破産も検討されたようですが、大学時代の親友が美容院を開業したときの保証人になっており、自分が自己破産してしまうと、親友に迷惑がかかる、と思い悩んでいたようです。

3-2.任意整理による解決

弁護士としては、ご友人には事情を説明し、自己破産することでご自身の借金をゼロにすることも一つの方法であることを説明しました。

しかし、Cさんがあくまでも自己破産は回避したいとのご要望であったため、任意整理で解決することになりました。

まず、弁護士は、貸金業者に対して、Cさんの債務整理を受任したという受任通知書を送りました。

受任通知書が届くことで、Cさんに対する債権者からの督促はぴたりと止まりました。

弁護士は、同時に取引履歴の開示請求を行い、後に開示された取引履歴を元に、利息制限法に基づく再計算をして、法律上支払い義務のある借金の残高を計算しました。

たまたま5社のうちの1社(クレジットカード会社)は、債務が約30万円残っていましたが、5年以上前に延滞を起こし、そのままカードが使えなくなったので、支払いもしていませんでした。そこで、時効による消滅を主張しました(消滅時効の援用)。これで、全体の債務額が30万円ほど軽減されることになりました。

そのほかの4社に対する債務額は、再計算により、債務額が合計でおよそ240万円に減額されました。

弁護士は残りの4社と交渉を行い、全社との間で、和解を成立させました。和解の内容は、受任通知後に発生した遅延損害金と将来の約定利息をカットし、残債務の元金だけを5年間(60回)の分割払いとするものでした。これで月々の支払額はほぼ4万円となりましたので、だいぶ支払いが楽になりました。

3-3.任意整理後の状況

Cさんの支払いは、最終的に4社となり、毎月総額で約4万円の返済ですむことになりました。

Cさんは実家に戻って働きながら、今も返済を続けていますが、先日、1社の返済が終了しました。残り3社への支払いは合計で毎月3万円ほどですので、もう大丈夫のようです。

 

4.ケース(4):15年くらい前から消費者金融を利用していたDさんの場合

4-1.相談時の状況

Dさん(男性:43歳・会社員)は、15年くらい前から消費者金融を利用していました。

飲みに行くお金やパチンコ等に使うため、必要な時に借りて、お金があるときには完済するというようなかたちで、これまで消費者金融からの借り入れと返済を繰り返してきました。

Dさんは、以前仕事で残業もある程度あったため、残業代も含めるとそれなりの収入があり、何とか返済できていたそうです。

ところが、2年ほど前から、労働環境が変わり、残業が大幅に減ったため、収入も少なくなり、生活費に加え、返済のための借り入れをするようになりました。

Dさんが相談に来られたときには、4社から220万円も借り入れている状況でした。

4-2.過払い金の調査

Dさんから借り入れの経緯をよく聞くと、今借り入れている4社以外にも完済してその後利用していない業者が2社あることがわかりました。

また、現在利用している4社も、取引の途中で完済してはまた借りるということが何度かあったということでした。

そこで、完済時に過払い金が発生している可能性が高いと考え、消費者金融6社に対し、受任通知を送ると同時に、取引履歴の開示請求を行い、開示された取引履歴を元に引き直し計算(再計算)をして過払い金の有無・過払い額を調査しました。

すると、完済した2社については合計で140万円の過払い金が発生していることがわかりました。

そのうち1社は、完済してもうすぐ10年になろうとしていたので、急いで過払い金返還訴訟を起こしました。過払い金は完済してから10年が経過すると時効で消滅してしまうためです。

また、取引を継続している4社においても、過去に一旦完済した際に過払い金が発生していたため、それを加味して現在の残高を計算しなおすと、4社の残高は80万円程度に減額されることが明らかとなりました。

4-3.過払い金返還請求後の状況

最終的に、2社から取り戻した過払い金130万円を、残り4社の残債務額80万円の返済にまわして、Dさんの全ての借金を片付けました。さらに、弁護士費用を精算してもまだ残った金銭がありましたので、それをDさんにお返しすることができました。

Dさんはお金の使い方を反省し、現在では借金ゼロの生活をしながらストレスなく過ごしています。

 

5.まとめ

上記4つのケースを見てきましたが、債務整理のイメージがつかめたでしょうか。

時折難しい用語も出てきたかもしれませんが、自己破産、個人再生、任意整理、過払い金返還請求をそれぞれ行い、借金問題を大きく克服したモデルケースでした。

借金を重ねて、借金が雪だるま式に膨らんでいくと、どうしたものかと解決方法に困ることになりますが、弁護士に相談し、早期に債務整理を行うことによって、その後の生活が大きく改善することがあります。

最後まであきらめず、債務整理に強い弁護士にご相談ください。

 

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