10分でわかる自己破産~借金返済が苦しくなったら弁護士相談を~

自己破産

1.自己破産に関する専門用語の解説

借金問題を解決する一つの方法が、「自己破産」です。自己破産とは、借金の支払いが困難になってしまった場合に、裁判所に申立を行ない、借金の支払いを免除してもらう制度です。ただし、税金や扶養料など一定の債務は免除されません。

以前は、破産手続を始める裁判のことを「破産宣告」と呼んでいましたが、懲罰的な印象を与え過ぎるということで、現在は、「破産手続開始決定」と呼ばれています。

自己破産の用語については、今日インターネット上でも多くの解説がありますが、専門用語であるためにわかりにくいようです。そこで、このコラムでは、破産に関する専門用語のうち、破産手続を理解するためには重要だけれど今ひとつわかりにくいものについてポイントをご説明します。

1-1.破産管財人とは

破産管財人は、破産手続において、裁判所から選任された弁護士のことをいいます。破産の申立を弁護士に依頼している場合でも、破産管財人は、その申立代理人とは別の弁護士が裁判所により選任されます。

破産管財人は、裁判所と協議しながら破産手続を主体的に進めていきます。
その中心的な業務は、破産を申し立てた者が財産を隠していないか等を調査し、生活に必要不可欠な最低限の財産(これを「自由財産」といいます)以外の財産については、これを売却するなどして換価(お金に換えること)し、最終的には債権者に対して平等に配当することにあります。この管財業務は、裁判所の職員がこれを行うのではなく、裁判所が選任した弁護士が行ないます。

破産者が個人の場合には、破産管財人の重要な職務として、免責不許可事由の調査があります。破産管財人は免責不許可事由がないかどうか、これがある場合には裁量免責を認めるのが相当かどうか、を調査して、その意見を債権者集会において報告することになっています。

例えば、破産者が買い物資金や遊行費を捻出するために多額の借金を作った場合などに、破産者と面談し、その経緯を詳細に調査して、破産者の将来の生活状況なども見すえて、裁量免責を認めるのが相当かどうか、総合的に検討した結果を記載した裁判所宛の意見書を作成し、これを債権者集会において提出します。

裁判所は、ほんどんどのケースにおいて、免責不許可事由がある場合でも裁量免責を認めるかどうかの判断においては破産管財人の免責に関する意見を重視する運用をしています。

このように免責不許可事由がある場合でも、最初から免責をあきらめないで、二度と同じような過ちを繰り返さないことを決意して破産手続にのぞめば、多くの場合において、免責が認められるのが実際の運用だと言えましょう。

個人の破産者については、免責決定が確定しますと、原則として借金の支払い義務を免除されます。ここで、「原則として」と述べたのは、税金や扶養料の支払義務など一定の債務については、免責決定を得たとしても支払義務を免れない場合が破産法に規定されているからです。このような免責の対象とならない債権のことを「非免責債権」といいます。税金が非免責債権であることは一般的に知られているようですが、その他にも非免責債権はありますので、注意が必要です。

⇒「非免責債権」について

1-2.管財事件と同時廃止事件

管財事件においては、同時廃止事件と異なり、破産管財人が選任され、隠し財産がないどうか調査したうえ、財産を処分して配当するための金銭を確保し、最終的には債権者に平等に配当する手続が中心となります。

財産がどの程度あるか不明な場合や、財産が無いことは明らかであっても免責を許可できない事由(詳細は後述しますが、「免責不許可事由」といいます)が存在する可能性があるときは、これらを調査するために破産管財人が選任されて、管財事件となる場合もあります。

これに対して、生活に必要不可欠な最低限の財産以外に財産が全く無く、また、免責不許可事由のないことも疑われない場合には、管財事件とはならず、破産管財人が選任されることもありません。このように、破産管財人が選任されることなく、破産の開始決定と同時に破産の手続が終了する場合を、「同時廃止」といいます。詳細は後述のとおりです。

⇒「自己破産の流れ

1-3.少額管財とは

「少額管財」とは、管財事件ではありますが、従前は最低でも50万円程度が必要であった予納金の額よりずっと低額な「20万円」を予納金の基準とすることで、管財事件としての破産手続の開始を著しく容易にしました。

これにより、財産隠しがないかどうか、免責不許可事由がないかどうか、などの調査を破産管財人にお願いすることで脱法的な同時廃止の申し立てを防止して債権者保護を図りつつ、他方においては、給与差押えの早期解除など破産者の経済的なやり直しも目指すという、コロンブスの卵的な、画期的な破産手続の運用方法です。

少額管財事件として裁判所で扱われるためには、申立の時点で、事前に必要な調査を完了していることが前提とされています。そのため、原則として、弁護士が代理人として破産の申立を行った場合に限られています。つまり、申立時に既に代理人の弁護士が債務や資産などの財産関係、免責不許可事由の有無などの調査をほとんど完了していることが想定されており、この事前調査により破産管財人の調査負担を軽くできるというのが裁判所の狙いでもあります。

20年ほど前に東京地裁の破産部が始めた管財事件の一類型としての手続であり、法令に違反しない程度にできるだけ破産手続を簡略化・類型化して迅速な手続処理を目指したところにも特徴が良く出ています。

この東京地裁が始めた「少額管財」の運用は、横浜地裁、千葉地裁など東京近隣の裁判所にも次第に広がりを見せ、現在では相当多くの地方裁判所において運用されているのではないでしょうか。ただ、現在でも昔ながらの予納金を納めないと管財事件として進めてくれないところもあるかもしれませんので、破産申立前に管轄裁判所に予納金の額などを確認しておく必要があります。

1-4.同時廃止とは

「同時廃止」とは、前述のとおり、生活に必要不可欠な最低限の財産以外の財産がないこと、免責不許可事由のないことなどが破産管財人による調査をするまでもなく明らかな場合に、破産管財人を選任することなく破産手続を終了させる場合をいいます。

裁判所が、支払不能であると認めて破産手続を開始するのと「同時」に破産手続の廃止(終了)を決定することから、同時廃止と呼ばれています。A4版1枚の決定書の中に、破産手続の開始と破産手続の廃止とが並記されています。

管財手続においては、前述のとおり、破産管財人が選任され、破産者の財産を調査することから始まりますが、同時廃止の場合には財産調査するまでもなく財産のないいことが明らかであるうえ、免責不許可事由に関しても調査する必要がないような場合となります。

法人破産の場合には原則としてすべてが管財事件となりますが、個人の自己破産申立事件においては、おおよその話ですが、同時廃止の事件が全体の8割程度の大多数となり、その他が管財事件などとなります。

ただ、自己破産の申立が同時廃止でなされた場合には、破産開始決定前における裁判所のチェックがより厳しくなり、管財事件とすべきであると裁判所が判断する場合には、例え、同時廃止の申立であっても管財手続とすることを強く指導されることがあるようです。

よって、財産関係についても、免責不許可事由についても、「隠し事」をしないよう、注意が必要です。

同時廃止となった場合は、裁判所が免責審尋期日を指定してきますので、破産者は同期日には必ず出頭しなければなりません。東京地裁の運用では免責審尋期日は破産開始決定からおよそ2ヶ月ほど先の日時が指定されます。

裁判所は免責審尋期日までの間に債権者に対して免責不許可事由に該当する事実の有無などについて意見照会をします。

また、免責審尋期日については債権者にも通知されますので、債権者は免責審尋期日に出頭して免責について異議など意見を述べる機会が与えられています。

しかし、実際には、大部分の免責審尋期日には破産者及び代理人が出頭するだけであり、債権者が出頭して意見を述べるようなことはほとんどありません。

裁判所は免責審尋期日で破産者に免責に関する事情について質問などしたうえで、後日免責を認めるかどうかを判断します。

同時廃止事件になった場合には、免責不許可事由を隠していたりしない限り、最終的には免責を認められることなります。免責決定は免責審尋期日から通常1週間から10日ほどで郵送されてきます。

免責の効果が生じるのは、その免責決定が「確定」してからとなります。免責決定は、その決定内容が官報に公告された日の翌日から2週間以内に債権者から抗告が出されない場合に、何らの申立をすることなく、自動的に確定します。通常、免責決定が確定するまでには免責決定が届いてからおよそ1ヶ月ほどかかります。

⇒「自己破産の流れ

1-5.異時廃止とは

「異時廃止」とは、破産開始と同時には手続が終了せず(同時廃止とはならず)、破産管財人が選任されて管財事件として手続が進行した場合において、財産調査の結果、債権者に配当できるような財産がないことが判明したため、配当に至らずに、破産手続の途中で終了する場合をいいます。

同時廃止と異なり、破産手続の開始と同時には手続が終了しないことから、「異時」廃止と呼ばれます。

個人破産の場合には、異時廃止となった場合も、それ以前に免責決定を出していない場合には、破産管財人の免責に関する意見を伺った上で、裁判所は免責決定を行なうかどうかを判断することになります。

免責決定後の手続きについては、上記同時廃止の場合と同様になります。

1-6.債権者集会とは

破産手続において、破産管財人が選任され管財事件となった場合には、「債権者集会」が開かれます。
債権者集会においては、破産管財人から、破産に至った事情、財産・債務の状況、財産換価の経緯や結果などについて報告が行なわれます。第1回目で終了しない場合には、2ヶ月~3ヶ月先に第2回目の債権者集会の期日が指定され、配当又は異時廃止などにより手続が終了するまで、債権者集会は何度か開かれます。

個人破産における債権者集会では、免責についても審議され、最終的には破産管財人の免責に関する意見書が提出されて、裁判所が免責を認めるかどうか判断します。

ただ、債権者は、債権者集会に出席する義務はありません。大きな会社の債権者集会であれば、債権者が大勢押しかけて紛糾するようなことも少なくありませんが、個人破産の場合は、配当にまわせるような財産がないことが多く、破産管財人に給与の差押えを解除してもらったり、免責不許可事由の有無を調査し、不許可事由がある場合には裁量免責が相当かどうか意見書を作成してもらうところに管財事件とした理由がある場合が多いので、全般的に個人の管財事件については最初から債権者の関心が薄いという事情が伺われます。

そのため、個人の管財事件については債権者が債権者集会に出席すること自体が通常少なく、裁判官、裁判所書記官、破産管財人、破産者、破産者の代理人弁護士のみで手続を行なう場合が多いのが実情だといえます。

1-7.免責不許可事由と裁量免責

自己破産を行なう最大の目的は、借金の支払い義務を免除してもらうことにあります。借金の支払い義務を免除してもらうには、裁判所に免責を許可してもらわなければなりません。

しかし、以下のような「免責不許可事由」がある場合は、免責が許可されない場合があります。

  1. (1) 破産の原因が賭博(ギャンブル)や浪費にある場合
  2. (2) クレジットカードで商品を買い入れてこれを著しく低額で処分して現金を入手した場合
  3. (3) 破産の申立に際し、財産を隠したり、不当に財産を減少させる行為を行ったりした場合
  4. (4) 破産の申立に際し、帳簿や書類をわざと捨てる、偽造する等の行為を行ったり、虚偽の債権者名簿等を提出したりした場合
  5. (5) 破産の手続の中で、裁判所の調査に対し、説明を拒んだり、虚偽の説明をしたりした場合
  6. (6) 過去に破産したことがあって、免責決定を受けてから7年以内に再度破産の申立を行った場合
  7. (7) 破産の申立を行なう前1年以内に、支払いができないことをわかっていながら、新たに借金をしたり、クレジットで物品を購入したりした場合

 

以上の免責不許可事由のうち、(1)のギャンブルや浪費に該当する場合や(2)の破産申立の直前にカードで商品を購入して低額で売却して現金を入手するというケースは結構あります。

このような事情があるときは、もちろん免責不許可となる場合があり得ますが、最初からあきらめる必要はありません。免責不許可事由があると必ず免責が許可されないというわけではなく、事情によっては裁判所の裁量により免責が認められる場合(裁量免責)があるからです。

このような裁量免責に相当する事情があるかどうかは、まず破産管財人が破産者と面談するなどして、破産に至った経緯全体、破産者の将来における収入状況や破産者のやり直しに向けた決意、破産者が生活を立て直すことができそうかなど、全体的な事情を調査して、裁量免責を認めるのが相当かどうかについて意見書を作成し、これを裁判所に提出します。

前述のとおり、裁判所は免責不許可事由がある場合でも裁量免責を認めるかどうかの判断においては破産管財人の免責に関する意見を重視する運用をしていますので、破産管財人の調査には全面的に協力することが大切です。そのためには、約束された面談の期日には必ず破産管財人の事務所に出向いて、質問されたことには正直に回答することなどが重要となります。

このように免責不許可事由がある場合でも、最初から免責をあきらめないで、二度と同じような過ちを繰り返さないことを決意して破産手続にのぞめば、多くの場合において、免責が認められるのが実際の運用だと言えましょう。

従いまして、免責不許可事由があると思われる場合には、これを隠そうとしないで、申立を行なう前に、弁護士などの専門家によく相談することが大切です。

最悪のケースは、免責不許可事由を弁護士にも隠して、債権者集会などで債権者から突然、免責不許可事由があると指摘を受けたような場合でしょう。

このような事態が生じると、申立代理人の弁護士も対処の仕様がないおそれがありますので、そうならないよう、申立前に事情を打ち明けて対策を立ててもらうことが大事です。

2.自己破産による借金問題の解決方法

自己破産というとマイナスのイメージを持たれている方も少なくないと思います。

しかし、自己破産は、任意整理や民事再生・個人再生等の他の債務整理の方法と異なり、免責が許可されれば借金がゼロになるという大きなメリットがあります。この点が自己破産を申し立てる最大の目的でしょう。

また、自己破産をすると、財産を全て失うとか、破産したことが戸籍に載る等と思われている方もおられますが、そのようなことはありません。

確かに、自己破産をすると、生活に必要な最低限の財産以外は手放さなければなりませんし、今後各種ローンが組みにくくなるといったデメリットもあります。

しかし、借金がゼロになることで、経済的な面はもちろん、借金を背負った苦しい精神状況からも解放されます。今後の収入を返済に充てる必要もなくなりますし、一定の貯蓄を行うことさえ可能になります。

借金が増えてくると夜逃げや自殺といった選択肢が頭をよぎる方もおられると思いますが、そのような選択をとる必要はありません。借金問題を解決し、人生の再スタートを切るためにも、早めに弁護士に相談することが大切です。

⇒「意外と知らない借金解決方法「自己破産」のメリットとは?
⇒「自己破産のメリット
⇒「自己破産のデメリット

3.自己破産をご検討の方はカヤヌマ国際法律事務所まで

自己破産を申し立てることはとても勇気のいる決断であると思います。

しかし、上述のように、借金で苦しんでいる生活から解放される手段としてはとても有効なものです。借金の額や収入状況、返済状況等を踏まえ、自己破産が最も適切な債務整理の方法だと判断される場合は多くあります。

カヤヌマ国際法律事務所は、自己破産を含め、様々な債務整理方法の中から借金問題の適切な解決方法についてご提案をします。借金問題でお悩みの方は、まずはご相談ください。

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