自己破産

自己破産とは

個人の自己破産手続の本質は、支払いできないほど多額の借金を抱えた人の借金をチャラにして(債務の免除・免責)、経済的な生活のやり直しを支援してくれる国の制度であるというところにあります。

破産手続が開始された後に手にした財産・収入は「新得財産(しんとくざいさん)」と呼ばれて、債権者への支払・配当のために取り上げられる心配はありません。「支払不能」だと認められる状況になったら、むしろできるだけ早く弁護士などの専門家に相談して、破産申し立てをすべきではないでしょうか。

破産手続きの最終段階で借金が免責されることが前提ではありますが、破産手続き開始後の給与などは「新得財産」として債権者に配当するために召し上げられることはなく、その全額を自分や家族のために使うことができるようになります。このように、破産手続開始後は、破産者がそれ以前より生活の立て直しをはるかにしやすくできるように制度的設計がなされています。

確かに、借りたものは返すのが当然ですが、一定の限度を超えると生活のやり直しが著しく困難になり、一家離散や自殺にまで至るおそれがあり、かかる帰結は社会全体の見地からも決して望ましいものではありません。

債権者への完済見込みのない支払い継続が結果的には新たな生活への再スタートを遅らせるだけとなり、家族や親族・友人らにも様々な迷惑をかけるだけであったというケースは結構多いのではないでしょうか。

破産は個人の債務を免除することで、債権者に多大な損害や迷惑を与えることになりますので、一定の政策的な理由から、個別の事情にかかわらず債務免除を認めない債権(非免責債権)を定めています。

また、不公平・不正な行為をした債務者や、不誠実な債務者には免責を認めないとする免責不許可事由を定めていますが、そのような免責不許可事由がある場合でも、裁判所の裁量で免責を認める仕組みが用意されているので、実際には多くのケースで免責が認められています(免責不許可事由と裁量免責)。

このような現在の運用を前提とすれば、厳しいながらも「優しさ」に満ちあふれた債務者救済制度が個人破産です。

個人の破産申立件数はバブルがピークを迎えた平成元年には全国で年間1万件未満でしたが、その後平成15年までは申立件数が右肩上がりで増え続けて、同年にはついに年間24万件を突破しました。その後は一転して右肩下がりで減少し続けて、平成24年には年間10万件を下回り、平成28年はおよそ7万件でした。それでもまだ結構な多数の個人破産があります。

このように近年は個人破産事件はかなり一般化していると言えますが、それでも破産事件が勤務先や友人に知られてしまうリスクは通常思われているほど高くはありません。実際には、給与の差し押さえなどがない限り、勤務先などにも知られずに破産手続きが免責により終了するケースが大多数ではないでしょうか。

また、破産者になると選挙権が失われるとか、戸籍や住民票に記載されるというような「都市伝説」があるようですが、そのような不利益は制度上課されていません。

また、家族に何らかの悪影響が及ぶのではないか、という漠然とした心配をされる方もいらっしゃるかと思いますが、例えば、親が破産すると子供の学校に通知が行くといったことはありませんし、家族が保証人になっていない限り、妻、夫、こども、親という近親者であっても、当然に破産者の借金を肩代わりすべき義務は制度的にはありません(みずから任意に肩代わりする場合は話が別です)。

家族への悪影響を心配されるのであれば、完済の目処が全く立たない無理な支払いを続けるデメリットを考えるべきでしょう。

当事務所のホームページでは、以下のとおり、自己破産手続については詳細に解説していますので、是非ご参考にして、適切なご判断の一助としてください。インターネットで情報を捜すことは重要ですが、今や当事務所をはじめ多くの法律事務所が無料で法律相談を行っていますから、実際に専門家と相談して事案に則した解決方法を早く見つけることが大切です。

当事務所のホームページが何かのお役に立てれば幸いです。

自己破産のメリット・デメリットまとめ

    メリット

  • 借金が免除される
  • 支払い督促をストップ
  • 給与の差押えをストップ 
  • 戸籍には掲載されない
  • 賃貸の住居には継続して住める
  • 生活に必要な最低限の財産は確保
  • 人生をやり直せる
  • 一家離散を防げる
    デメリット

  • ブラックリストに載る
  • 連帯保証人に請求が行く
  • 官報公告に載る
  • 7年以内は再度の免責が不許可
  • 滞納税金は免除されない
  • 不動産が処分される
  • 自動車が処分される
  • 免責確定まで職業・資格の制限あり
  • 予納金の負担あり
  • 郵便物が破産管財人へ転送される
  • 旅行などの制限あり

自己破産の流れ

自己破産の流れについてはこちら

自己破産のメリット

1.借金が免除される

自己破産の最大のメリットは、裁判所から免責許可決定を受けてこれが確定すれば、借金の支払を強制されることがなくなります。

これにより、人生をやり直せる機会が与えられることが自己破産の最大のメリットといえるでしょう。

2.給与差押えを解除できる

自己破産の申し立てをすることで、給与の差し押さえを取消・解除してもらうことが出来ます。これにより、借金が返済できなかったために給与が差し押さえられて会社が給与の支払いを凍結したり控除していた場合でも、そのような差押をストップすることができます。

※給与差押えとは

貸金業者などの債権者が公正証書や判決・和解調書・調停調書などの「債務名義」に基づいて、裁判所に対して給与を支払う会社を第三者債務者として給与の差し押さえを申し立てると、裁判所が差押命令書を作成して第三債務者となる会社宛に郵送します。会社がその差押命令書を受け取ると社員への支払いを禁止する効果が発生しますので、会社は社員(債務者)に対して給料を支払うことができなくなります。そして、債権者は第三債務者である会社に直接支払いを求めるなどして、給与から債権の回収をはかることになる手続です。

ただし、給与全額が差し押さえられることはありません。法律によって、手取り額が44万円を超える場合は33万円を引いた残り全てを差し押さえられますが、手取り額が44万円以下の場合は、給与の4分の1までしか差し押さえられないと決まっています。

意外と知らない借金解決方法「自己破産」のメリットとは?

自己破産のデメリット

1.連帯保証人に請求が行く

自己破産をして借金がゼロになった場合、債権者は借金をした債務者の連帯保証人から借金分を取り戻そうとして取り立てを行います。ですから連帯保証人には十分な説明が必要となります。なお、連帯保証人は原則一括返済を求められます。分割返済の交渉(任意整理)が出来ない場合は、連帯保証人自身も自己破産を含む債務整理が必要となるケースがあります。いずれにしても弁護士に相談する必要があります。

2.ブラックリストに載る

いわゆる「ブラックリスト」と呼ばれる、個人信用情報機関に事故情報として登録されるため、一定期間(7年程度)は新規に借金をしたり、新規にクレジットカードを作ったりすることが出来なくなります。また、新規にアパートを借りる場合などに審査で通らないこともあります。

もっとも、任意整理でも、個人再生でも、弁護士等が債権者に受任通知を出して、支払いを停止すると、「ブラックリスト」に登録されるので、これは破産だけのデメリットとはいえません。

ブラックリストとは?個人信用情報機関と債務整理のメリット

3.官報に載る

国の広報誌の「官報」に、自己破産者の氏名、住所、手続日時、裁判所などの個人情報が記載されます。そのため、誰でも、自己破産をしたことを確認することが出来ます(ただし、官報を見る方はごく稀です)。

なお、住民票や戸籍上には記載されません。

4.自己破産の免責等から7年以内は再度の免責を許可されない

自己破産を申し立てて免責決定の確定を得てから7年が経過する前は再度自己破産を申請しても免責されない可能性が大きいので注意が必要です(⇒免責不許可事由と裁量免責)。

5.不動産が処分される

破産管財人が財産を処分して現金に換算し、配当として債権者に配分することが破産手続の主たる目的ですから、不動産を持っていた場合は換価処分の対象となり、これを失うことになります。自宅をはじめ、賃貸アパート、別荘、土地などの不動産は全て失います。

ただし、住宅ローンを担保するための抵当権が設定された不動産は、破産手続とは別に競売にかけられ、債権者は優先的に競売代金から住宅ローンの回収をはかります。

もっとも、不動産の価値に比べて1.5倍以上のローンが残っている抵当権付きの場合には、そもそも資産性がないものとして、破産手続における換価・処分の対象から除外されることがあります。

6.自動車を処分される

自動車ローンが残っていない場合で、かつ自動車の時価が20万円以下の場合は、引き続き自由財産の一部として所有することが出来ますが、20万円超の場合は管財人により売却処分されます。自動車ローンが残っている場合は、自動車の所有権は通常ローン会社が留保している(所有権留保)ため、通常はローン会社に自動車を引き揚げられます。

7.資格制限がある

自己破産の場合、破産宣告を受けると免責決定が確定するまでの一定の期間、一部の職業の方はその職に就けなくなることがあります(弁護士や税理士などの士業、不動産鑑定業、宅地建物取引主任者、生命保険募集人、旅行業務取扱主任者、警備員等など)。

ただし、破産手続が終了し、免責決定が確定したときには、何らの申立をすることなく、当然に「復権」できます。これにより資格制限は消滅するので、再度活動することが可能となります。

自己破産による資格制限とは?資格制限のある職種と制限期間について

自己破産についての注意事項

「非免責債権」について

自己破産が認められ、免責決定が出されたとしても、破産法上、免責されない借金というものがありますので、注意が必要です。

  1. 租税等の請求権
    例えば、税金を滞納している場合、その税金は免責にはなりません。なお、年金保険料や国民健康保険料も同様です。
  2. 悪意・故意または重過失による損害賠償請求権
    悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権や、故意または重過失により加えた人の生命または身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権を指します。
  3. 婚姻費用や養育費など
    養育費など扶養義務者として負担すべき費用に関する請求権
  4. 雇用関係に基づいて生じた使用人の請求権および使用人の預かり金の返還請求権
  5. 自己破産者が知っていながら債権者名簿に記載しなかった請求権
  6. 罰金等の請求権

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