「返済することなく長期間放置していた借金について、突然督促状が届いた」という場合には、「消滅時効」により、借金の返済義務を免れる可能性があります。
ただし、慌てて自分で対応すると、思わぬ落とし穴にはまってしまいますので、要注意です。
まずは真っ先に「弁護士」に相談することをお勧めします。弁護士があなたに代わって、時効の手続き(これを「時効の援用」といいます。後述2「.消滅時効は援用しなければ効力がない」参照)を行ってくれます。
消滅時効の落とし穴に注意!
素人である債務者が債権者に、「時効だ」といっても、債権者もあの手この手を使って、借金を払わせようとします。
あまりしつこいので根負けして、軽い気持ちで「分かった。後で払います。」等と言ってしまうと、それだけでせっかくの時効を主張できなくなる可能性があります(これを「援用権の喪失」といいます。後述「2.消滅時効は援用しなければ効力がない」参照)。
ですから「時効じゃないの?」と思ったら、下手に債権者と接触しないで、迷わず弁護士に相談しましょう。
消滅時効手続きの費用は、カヤヌマ国際法律事務所では
3万3千円(税込)/1社あたり
となります。
仮に時効が認められない場合(時効期間が経過していない等)でも、当事務所は借金問題解決を得意とする弁護士事務所ですので、引き続き、任意整理・個人再生・自己破産などの債務整理による借金の解決を安心してお任せいただけます。
下記では、消滅時効の援用に関して、詳細に解説いたします。
【この記事を読んでわかること】
- 借金が時効になるまでの期間について
- 消滅時効の援用の方法について
- 時効が更新(中断)される場合について
1.借金の消滅時効はいつ?
1−1.消滅時効とは
時効とは、時の経過により、もともとは存在しない権利を発生させたり(取得時効)、逆に、もともと存在していた権利を消滅させたり(消滅時効)する制度です。
貸金業者が借金の返済を請求できる権利は、一定の期間が経過することで消滅時効にかかります。
お金を借りた側から見れば、借金を返済する義務が時効で消滅することになるのです。
しかし、消滅時効については、冒頭で述べた時効の更新(中断)のように、期間のカウントをリセットする制度など複雑なルールが存在していますので注意が必要です(「3.消滅時効の更新(中断)」で詳しく解説)。
1−2.借金の消滅時効の期間|原則5年
それでは、借金返済の義務は、どれくらいの期間の経過により時効となるのでしょうか。また、その期間はいつからカウントされるのでしょうか。
実は、2020年4月1日に施行された改正民法において、従来の消滅時効に関するルールが大きく変更されました。
しかし、改正後の法律が実際に適用される借金は、2020年4月1日以降の法律行為に基づくものが対象となります。
現状、借金をしたのが2020年4月1日以後(改正法が適用される日時)では時効が成立していませんから、ここでは、改正前の民法に基づく消滅時効の期間を解説していきます。
借金の返済を求める権利は、一般的な民事債権として、10年の消滅時効にかかることになります(民法第167条第1項)。
ただし、消費者金融からの借金のように、当事者の一方が株式会社などの「商人」である場合には、消滅時効の期間は(商事取引の迅速性を図る趣旨から)5年とされています(商法第522条)。
したがって、貸金業者(消費者金融)などからの借金の消滅時効の期間は、通常5年であると考えてよいでしょう。
もっとも、たとえば、信用金庫や住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)は営利を目的とする会社ではない(すなわち商人ではない)と考えられているため、これらの機関からの借金の消滅時効期間は10年となります。
そして、借金の消滅時効の期間は、「権利を行使することのできる時」からカウント(起算)されることになります。具体的には、返済期限の到来がこれにあたります。
2.消滅時効は援用しなければ効力を発揮しない
消滅時効による借金の返済義務は、ただ期間が過ぎただけでは消滅しません。債務者による時効の「援用」により、はじめてその効力を発揮します。
「時効の援用」とは、債務者が債権者に対して時効による利益を受けると主張することです。
時効の援用は、基本的に内容証明郵便で消滅時効援用通知書を債権者に送付することで行います。
時効完成後であればいつでも可能であり、誰でも手続きすることは可能ですが、書き方や起算点を間違えて失敗しないように、時効が成立しているかどうかも含めて一度弁護士に相談することをお勧めします。
もし、時効の完成後に時効の援用をすることなく、債務者が時効期間の経過していることに気づかないで借金を返済したような場合には、その返済は法律上有効であり、もはや債務者は返したお金を債権者から返してもらうことはできないという考えが通常です。
これを「時効援用権の喪失」と言い、「信義則」に基づくものだと説明されます。
債務者が時効を援用することなく借金を返済したことに対して、債権者の信頼を保護するため、もはや時効を援用することはできないのです。
時効完成後の一部弁済などの場合は、個別の事情を踏まえて、例外的に時効の援用が許されることもあり得ます。
例えば、すでに時効が完成していたのに、貸金業者が債務者を騙して「まだ時効は完成していない」と言って一部弁済させたようなケースでは、債務者側に「信義則違反がない」と考えられので、時効の援用が認められるでしょう。
また、時効完成後に貸金業者が債務者の自宅を訪問して激しい取立行為をしたため、やむなく債務者が1,000円程度の返済を行ったような場合にも、時効を援用することは許される可能性があります。
一方で、債務者が時効の完成を知っていながら時効を援用して債務を免れることをいさぎよしとしない場合には、時効を援用しないで、「時効の利益を放棄」することができます(民法第146条)。
3.消滅時効の更新(中断)
直前では「時効の完成後の時効援用権の喪失」について解説しましたが、時効は完成前であっても債権者により更新(中断)されてしまうことがあります。
このような時効障害事由について、改正民法施行日である2020年4月1日より前に事由が生じた場合は旧法が適用されることになります。
「少し前に突然請求が来た」という場合は新法が適用されますので、ここでは改正後の時効障害事由について解説します。
改正後民法において、時効の時効障害事由は、①裁判上の請求、②差押え、仮差押え又は仮処分、③承認の3つに大別されます(民法第147条)。
このうち、典型的な①裁判上の請求と③承認について説明します。
3−1.裁判上の請求
たとえば、消費者金融業者が債務者の最後の約定返済日から5年経過する1ヶ月前に、裁判所に訴状を提出して訴えを提起すれば、時効の完成が猶予されます(訴訟ではなく支払督促の場合も同様です)。
これにより、仮に判決まで数ヶ月を費やした場合でも、借金の返済義務は時効により消滅することはありません。
その後、裁判により消費者金融業者が勝訴する判決(借金の返済を命じる判決)が出れば、時効は更新され、時効期間は確定日から10年となります(民法第174条の2)。
なお、「催告」(裁判外の請求)については、催告がなされてから6ヶ月間、時効の完成を猶予することになっています。
3−2.承認
承認とは、債務者が債権者に対して権利の存在を認めることです。
借金の返済義務に関していえば、たとえば債務者が債務確認書にサインすれば、まさに借金の返済義務が存在することを認めたと言えます。
また、「○○日までに支払います」と約束したり、借金の一部でも返済したりすれば、それも借金の返済義務を前提とする行為ですから承認に当たります。
借金の存在を認め、一部でも借金の返済を行えば、借金の消滅時効の期間はその都度一旦リセットされて、また0からカウントされるということです。
債権者からの突然の連絡には慌ててしまいますが、性急な対応は時効の更新となる危険があり得策ではありませんので、債権者から連絡が来ても「確認してみます」などと言って一度立ち止まり、弁護士に状況を確認してもらった方が良いでしょう。
4.借金問題は弁護士にご相談ください
金融業者への借金返済が滞り、長期間放置した場合には、元金や未払いの利息だけではなく、滞納期間に応じた遅延損害金を加えて返済することになります。
そのため、貸金業者から借金の督促書が届いた借り主は、その請求額にびっくりしてしまい、慌てて連絡して、請求された借金を返済してしまうこともあるようです。
しかし、長期間返済しないまま放置していた借金は、消滅時効にかかっている可能性があります。時効が成立しているかどうかを確認するためにも、一度弁護士までご連絡ください。
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