「自己破産」は、借金の支払いが困難になってしまった場合に裁判所に申立を行い、借金の支払いを免除してもらう制度です。
任意整理や個人再生等の他の債務整理と異なり、認可されれば借金がゼロになるという大きなメリットがあります(ただし、税金や扶養料など一定の債務は免除されません)。
自己破産は借金を抱えている人が誰でも無条件でできるわけではありませんし、自己破産をすることによるデメリットも少なからず存在します。しかし、弁護士に相談をすることで失敗のリスクを抑え、今後の生活への影響を最小限にした上で借金問題を解決できます。
この記事では、「自己破産」による借金問題の解決についてご説明します。
- 自己破産で免責が認められると借金がなくなること
- 免責(借金を0にすること)が難しいケースとその対処方法
- 債権者集会を恐れなくて良いこと
1.自己破産の効果
自己破産をすると、現在抱えている借金の支払い義務が原則として全て免除されます。
借金が0になることで、経済的な面はもちろん、借金を背負った苦しい精神状況からも解放されます。今後の収入を返済に充てる必要もなくなり、一定の貯蓄を行うことさえ可能になるでしょう。
とは言え、「自己破産」というと、マイナスのイメージを持たれている方も少なくないと思います。
実際には、「自己破産をすると財産を全て失う」「破産したことが戸籍に載る」などということはありません。
確かに、自己破産をすると、当面の生活に必要な最低限の財産以外は手放さなければなりません。しかし、裏を返せば99万円以下の現金や家具家財などの生活必需品は手元に残しておくことができます。
また、自己破産により信用情報機関に登録されることで、今後クレジットカードを利用することや各種ローンを組むことができなくなりますが、これも永遠のものではなく、5~10年で解除されます。
借金問題を解決し、人生の再スタートを切るためにも、早めに弁護士に相談することが大切です。
2.自己破産で「免責」を得る方法
自己破産を行う最大の目的は、借金の支払い義務を免除してもらうことにあります。
借金の支払い義務を免除してもらうことを「免責」と言い、免責は裁判所に許可してもらわなければなりません。
しかし、この免責が許可されない場合(免責不許可事由)が存在します。
記
(1) 破産の原因が賭博(ギャンブル)や浪費にある場合
(2) クレジットカードで商品を買い入れてこれを著しく低額で処分して現金を入手した場合
(3) 破産の申立に際し、財産を隠したり、不当に財産を減少させる行為を行ったりした場合
(4) 破産の申立に際し、帳簿や書類をわざと捨てる、偽造する等の行為を行ったり、虚偽の債権者名簿等を提出したりした場合
(5) 破産の手続の中で、裁判所の調査に対し、説明を拒んだり、虚偽の説明をしたりした場合
(6) 過去に破産したことがあって、免責決定を受けてから7年以内に再度破産の申立を行った場合
(7) 破産の申立を行なう前1年以内に、支払いができないことをわかっていながら、新たに借金をしたり、クレジットで物品を購入したりした場合
上記の免責不許可事由のうち、(1)ギャンブルや浪費による借金や、(3)財産隠しをするというケースは多いです。
しかし、このような事情があるときでも、最初から諦める必要はありません。免責不許可事由があると必ず免責が許可されないというわけではなく、裁判所の裁量により免責が認められる可能性があるからです(裁量免責)。
裁判所は、債務者が破産に至った詳しい経緯、反省の態度、破産後に生活を立て直すことができそうかなど、全体的な事情を調査して、裁量免責を認めるのが相当かどうかを判断します。
実際、免責不許可事由がある場合でも、二度と同じような過ちを繰り返さないことを決意して手続に臨めば、一度目の自己破産ならば多くの場合において免責が認められるでしょう(当然、二度目の自己破産は免責不許可事由についてより厳しく精査されます)。
従って、免責不許可事由があると思われる場合には、これを隠そうとしないで、申立を行う前に弁護士などの専門家によく相談することが大切です。
なお、万が一免責不許可事由が原因で自己破産が難しい場合は、免責不許可事由が規定されていない個人再生などにシフトをすることになるでしょう。
3.債権者集会とは
破産手続において開かれることがある「債権者集会」について不安をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
ドラマなどで会社が破産した場合、債権者が大勢押しかけて紛糾するようなシーンを見たことがある方もいらっしゃるでしょう。
債権者集会は、破産管財人が選任され管財事件となった場合に開かれます(法人の破産の場合は必ず開かれますが、個人の破産の場合は開かれないことが多いです)。
債権者集会においては、破産管財人から、破産に至った事情、財産・債務の状況、財産換価の経緯や結果などについて報告が行なわれます。1回の所要時間は15分程度と非常に短いです。
第1回目で終了しない場合には、2ヶ月~3ヶ月先に第2回目の債権者集会の期日が指定されます。
【破産管財人とは】
破産管財人は、自己破産手続きにおいて裁判所から選任された弁護士のことをいいます(破産の申立を弁護士に依頼している場合でも、その申立代理人とは別の弁護士が裁判所により選任されます)。
破産管財人は、裁判所と協議しながら破産手続を主体的に進めていきます。その中心的な業務は、破産を申し立てた者の財産の調査・換価・配当、免責不許可事由の調査と報告などです。
実は、債権者は債権者集会に出席する義務はありません。
特に個人の自己破産の場合は、法人の破産とは違い、多数の債権者・多額の債務が関わってくるケースは稀ですし、配当に回せるような財産も少なく、債権者の関心が薄いという事情が伺われるからです。
そのため、個人の自己破産については債権者が債権者集会に出席すること自体が通常少なく、裁判官、裁判所書記官、破産管財人、破産者、破産者の代理人弁護士のみで手続を行う場合が多いのが実情だといえます。
債権者集会について過度に心配する必要はないでしょう。
4.自己破産に成功するために
自己破産は、法規上は個人が独力で行うことも可能です。
しかし、上記のような「免責不許可事由」の有無の検討、「債権者集会」への対応など、手続き上で専門的な知識が必要になることは多いです。また、申立に際しての必要書類も多く、これを一人で全て収集・準備するのは非常に大変です。
そもそも債務整理は、借金の額や収入状況・返済状況等を踏まえて個別に検討するものであり、もしかしたら貴方にとって最適な解決方法は自己破産ではないかもしれません。
最も適切な債務整理の方法をアドバイスしてもらうためにも、また、自己破産を滞りなく成功させるためにも、借金にお困りの方は一度弁護士に相談することをお勧めします。
弁護士に自己破産を依頼することで、具体的には以下のようなメリットがあります。
- 「受任通知」により依頼後すぐに債権者からの督促が止まる
- 免責不許可事由がある場合に裁量免責が認められやすくなる
- 管財事件でなくなる可能性が上がり、結果債権者集会を避けられる
- 専門的知識・経験に裏付けられた有益なアドバイスを受けられる
自己破産に関する不安や疑問についても親身になって答えてくれますので、まずは一度相談をしてみることをお勧めします。
5.自己破産をご検討の方はカヤヌマ国際法律事務所まで
自己破産を申し立てることは、とても勇気のいる決断であると思います。
しかし自己破産は、借金に苦しむ生活から解放される手段としてはとても有効なものです。
カヤヌマ国際法律事務所は、自己破産を含め、様々な債務整理方法の中から借金問題の適切な解決方法についてご提案をします。借金問題でお悩みの方は、まずはご相談ください。
当事務所は、東京都新宿区にある丸ノ内線「四谷三丁目駅」から徒歩1分ほどの場所にございます。
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借金返済が苦しくなってきたら、お電話もしくはメールフォームよりご予約いただき、できるだけ早めにご相談へお越しください。
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