借金を0にする「自己破産」には、「同時廃止手続」と、破産管財人が選任される「管財手続」という2種類の手続きがあります。
※なお、「管財手続」については「少額管財手続」として解説しますので、以下「管財手続」というのは「少額管財手続」のこととお考え下さい。
最初に両者のイメージを掴むためにごく簡単に説明します。
本来破産手続きは、破産管財人が破産者の財産を調査のうえ換価して債権者に配当し、最終的には債務者を免責するかどうかを決める手続です。(⇒これを「管財手続」といいます。)
しかし、破産者側に配当するだけの財産がないことが明らかで、破産に至った経緯にも問題がない場合には、管財人を選任するまでもなく、裁判所の審査だけで破産手続きを終わらせることになります。(⇒これを「同時廃止手続」といいます。)
同じ破産でも、
同時廃止手続or管財手続になるかで2つの大きな違い!
があります。
それは、
- 「同時廃止手続」よりも「管財手続」では費用が高い
- 手続きの複雑性の点では、「同時廃止手続」よりも「管財手続」の方が複雑で時間がかかる
という違いです。
本記事では、同時廃止手続と管財手続に関して、
1:両者の振分け基準(どういう条件で同時廃止手続と管財手続とに区別されるのか)
2:両者の違い
を詳しく解説していきます。
1.同時廃止手続と管財手続の振分け
同時廃止手続、管財手続のどちらになるかは、債務者(申立人)が選択できるわけではなく、裁判所が一定の『基準』のもとに債務者の状況を総合的に見て判断します。
冒頭で述べたように、破産は①『債権者に破産者の財産を配当』し、②『破産者には免責の恩恵を与える』という2つの柱で成り立っています。ならば、
⇓
①債権者に配当できるめぼしい資産がなく、②破産者にも破産に至った点に特段の問題がなく免責に値するのであれば、
⇓
わざわざ破産管財人を選任(管財手続)するまでもなく、簡単な手続き(同時廃止手続)で終わらせても差し支えないわけです。
そこで、実務(東京地裁)では、次のような振分け『基準』が用いられています。
【管財事件として取り扱われる場合の例】
- 債務者に、33万円以上の現金がある場合
- 債務者に、20万円以上の換価対象資産がある場合(預貯金、保険の解約返戻金、未払報酬・賃金など)
- 債務者が所有する不動産の被担保債権額が不動産処分価格の1.5倍未満の場合
- 債務者の資産調査が必要な場合
- 債務者が法人の場合
- 債務者が法人の代表者又は個人事業者の場合
- 債務者の免責調査を経ることが相当な場合
以上の例のどれか一つでも当てはまれば破産管財人が選任され管財手続となり、逆に以上の例のどの条件にもあてはまらなければ破産管財人は選任されずに、同時廃止手続となります。※以上はあくまで原則です。
また、実際の運用では、自己破産のうち約60%が「同時廃止手続」で、残り約40%が「管財手続」になっているようです。
2.同時廃止手続と管財手続の違い
2−1.費用が違う
費用には、「裁判所に納める費用」と「弁護士費用」がありますが、いずれも同時廃止手続では安く、管財手続では高いという関係にあります。
1 裁判所に納める費用
同時廃止手続の場合 ⇒ 2万円程度
官報公告費などとしての予納金・郵券などの合計です(正確な金額・郵券の内訳などは、事前に裁判所に確認する必要があります)。
管財手続の場合 ⇒ 22万円程度
管財人報酬分を含めての予納金・郵券などの合計です。
2 弁護士費用
同時廃止手続の場合 ⇒ 20万円~50万円
管財手続の場合 ⇒ 25万円~80万円
程度と思われます。※ネット情報による。
管財手続では手続きが複雑かつ時間がかかることから、通常、同時廃止手続より高めです。しかし、事務所によってかなり差がありますので、事前によく調べることをお勧めします。
※カヤヌマ国際法律事務所では、自己破産の弁護士費用を、同時廃止手続では22万円、管財手続では33万円と定めております(税込)。
2−2.手続きの流れ・所要時間が違う
自己破産は次のように手続きが進みます(東京地方裁判所の例です)。
チャート図の赤枠で囲った部分は、依頼者の関与が必要となる大事な手続きです。
3.自己破産をするならカヤヌマ法律事務所の弁護士へ相談
自己破産は裁判所を通す複雑な手続で、同時廃止or管財事件が決まった後でも、様々な法的手続きをこなす必要があります。
一般の方が自力で対応をすることは難しいので、自己破産をするならば弁護士にご相談・ご依頼ください。
カヤヌマ国際法律事務所は、これまで自己破産をはじめとした多くの債務整理事件を受任し、解決してまいりました。その豊富なノウハウから、ご相談をいただいた時点で「同時廃止になりそうか、少額管財事件になりそうか」を見積もることができます。
さらに、申立を弁護士に依頼して、申立代理人の弁護士が事前にしっかりと調査を行なっている方が、同時廃止になる可能性は高いといえます。
最寄り駅の「四谷三丁目駅」は、新宿駅からも東京メトロ丸の内線で約5分です(事務所は駅から徒歩約1分)。
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