個人再生をすると水道光熱費はどうなる?電気・ガス・水道は止まる?

個人再生

個人再生をすると水道光熱費はどうなる?電気・ガス・水道は止まる?

 

1.水道光熱費滞納と個人再生

個人再生をすると、今抱えている借金(負債)を減額することができます。

しかし、電気・ガス・水道などの水道光熱費も滞納してしまっている場合、

  • 滞納分は支払わなければいけないのか、あるいは払ってもいいのか
  • 滞納分もほかの借金と同じように減額されるのか
  • 個人再生をすると水道や電気、ガスを止められてしまわないか?

など色々わからないことがあり、「もやもや」しますね。

本稿では、個人再生をする際の水道光熱費の扱いをわかりやすく解説し、この「もやもや」を解決します。

 

2.水道光熱費は支払わなければならない

結論を申し上げますと、水道光熱費の大部分は、個人再生とは関係なく全額支払わなければなりませんが、一部の水道光熱費は個人再生の手続きに従い、再生手続きの中で支払われますので、この

再生手続きの中で支払われる一部の水道光熱費とはどんなものか

を理解しておくことが重要です。

以下の区分を図解すると次のようになりますので、参考にしながらお読みください。

個人再生での未払い水道光熱費の取り扱い

A 減額される水道光熱費

●再生手続開始時より6か月以上前の水道光熱費

減額されます!
勝手に払ってはいけません!

民事再生法84条により「再生債権」となりますので、ほかの借金と同様に個人再生手続きにおける減額対象債権として滞納分を債権者一覧表に記載します。そして後日認可される再生計画案に従って減額された金額を支払えばよく、残り分は免除されることになります。ですから、

勝手に払ってはいけない(偏頗弁済になるから)! ←注意!

ことになるのです。

最初に申し上げた「再生手続きの中で支払われる一部の水道光熱費」はこの区分の水道光熱費だけです。

※ただし下水道料金は、いつの下水道料金であろうが減額されず、すべて支払わなければなりませんので注意してください(民事再生法第50条2号、119条、122条、地方自治法231条の3第3項及び付則6条)。

そうすると以下の水道光熱費は、「個人再生手続きとは関係なく支払っていくべきもの」になります。

※以下のBは説明が難しくなりますが、面倒ならば読み飛ばして、3に進んでいただいて結構です。

 

B 減額されない水道光熱費

①再生手続開始時から6か月前以降の水道光熱費(次の「共益債権」を除く)

減額されません!
全額払わなければなりません!

民事再生法第122条により「一般優先債権」になりますので、個人再生手続きで減額されることなく、全額支払わなければなりません。

水道光熱費は最後の6か月間につき一般の先取特権を有する債権(民法306条4号及び310条)ですから、民事再生法第122条により個人再生手続開始決定時からさかのぼって6か月間の分につき「一般優先債権」になります。←ここは難しいので理解できなくても構いません。

 

②再生申立後~個人再生手続開始決定前までの水道光熱費

減額されません!
全額払わなければなりません!

民事再生法第50条2号により「共益債権」になりますので、個人再生手続きで減額されることなく、全額支払わなければなりません。

 

③再生手続開始時以降の水道光熱費

減額されません!
全額払わなければなりません!

民事再生法第119条2号及び第121条により「共益債権」になりますので、個人再生手続きで減額されることなく従来通り支払わなければなりません。

 

以上で、支払わなければならない水道光熱費、再生計画により減額された金額だけ支払えばよい水道光熱費の区別はご理解いただけたと思います。

 

3.個人再生で水道光熱費の契約を断られることはない

電気・ガス・水道といった継続的なライフライン契約は、法により特別な扱いがなされています。つまり滞納分の弁済がないことを理由に、その契約を打ち切ることはできないとされています(民事再生法50条)。

したがって、電気・ガス・水道は従前どおり使用できるのでご安心ください。

※当たり前ですが、個人再生の後に発生した水道光熱費を支払わずにいると、未払いによりライフラインを止められる危険はあります。

 

4.個人再生をする場合は弁護士にご相談ください

水道光熱費については、滞納している時期によって「支払う必要があるか」「支払わずに済むか」の取り扱いが異なります。
正確な対応のためには、弁護士へのご相談がお勧めです。

弁護士にご相談いただければ、他の債務整理手続きを含めて、依頼者に合った債務負担の軽減方法をアドバイスいたします。
また、実際に個人再生を行うことになった場合は、円滑に減額を受けられるように、債務者の状況を踏まえて適切に対応いたします。

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