1.おまとめローンとは
テレビCMなどで、「おまとめローン」とか「債務の一本化」などという言葉を聞いたことはありませんか。
おまとめローンとは、複数の金融業者からの借金を、まとめて一つの業者から借り換えることで、債務を一本化する方法です。借金で苦しんでおられる方の多くは、一社だけでなく複数の金融業者から借り入れをしていることが多いので、これを一本化できるという点に魅力を感じられる方も多いようです。
2.おまとめローンの仕組み
おまとめローンを申し込む場合は、まず、現在の借金が、どこに、いくらあるかを申告しなければなりません。そして、その借金の総額を借り入れるのですが、その借り入れで他社の借金を完済することが条件となっています。
業者によっては、直接、借入先へ顧客名で融資金を振り込むところもあるようです。
3.おまとめローンのメリット
3-1.返済先が1社になる
これまで複数の業者から借り入れていた方は、返済日が1ヶ月に何回もあり、しかも、業者ごとにバラバラだったため、計画的な返済が難しいという側面があったと思います。
おまとめローンを利用すると、1社からの借り入れになるため、返済日は月に1回決まった日となるので、計画的な返済をしやすくなるという利点があります。
3-2.金利が安くなる
おまとめローンの金利は、比較的低い傾向にあるため、これまでの借り入れ先の金利よりも安くなることが多く、これも、おまとめローンの利点といえるでしょう。
4.おまとめローンのデメリット
おまとめローンには、上記のようなメリットがある反面、注意しなければならない点が、次に述べるとおり、多々あります。
4-1.借金の総額が減らない
おまとめローンは、これまで複数社に借り入れていた借金の総額を単に一本化して借り換えるものです。利息制限法に基づく引き直し計算(再計算)をしないのですから、借金の総額は減りません。
これまで長期間、借り入れや返済を繰り返してきた方の場合、過去に利息制限法を超える違法金利で借り入れていた時期のある可能性が高く、その際に払いすぎた利息(いわゆる過払い金)を再計算(引き直し計算)することによって、借金の残高が減ったり、さらに、借金の残高ゼロを越えた過払い金が発生している可能性があります。
しかし、おまとめローンを利用した場合、これまで利用していた業者には、おまとめローンで借り入れたお金で一括返済するため、過払いの存在に気が付かないまま、ひどい場合には、債務減額や過払い金発生の可能性を無視して返済してしまうことがあるのです。
4-2.返済総額が増える場合もある
前述のように、おまとめローンでは、金利が安くなる傾向にあり、また、1ヶ月あたりの返済額も少なくなることが多いので、一見借金を返済しやすいように見えます。
しかし、返済期間が長くなってしまうことで、利息の支払も多くなるため、これまでの契約を継続するよりも、総額では、返済金額が増えてしまう可能性もあることに注意しなければなりません。
4-3.再度の借り入れを起こしてしまう
おまとめローンでは、これまで借り入れていた業者に一括返済をします。
ただ、多くの場合、一括返済をしても従前の契約は解消されずに継続しているため、限度額の範囲内で再度の借り入れが可能になることがあります。
また、一括返済をすると業者から、再度の借り入れの勧誘があることもあります。
そのため、つい再度の借り入れを起こしてしまう方も少なくなく、そうなると、おまとめローン分も返済しつつ、新たな借金も返済しなければならなくなり、結局、借金の総額が膨れ上がる原因になってしまうことがあります。
5.借金の総額を減らす方法
5-1.再計算(引き直し計算)をする
複数社からの借り入れで返済が困難になっている方にとって、おまとめローンはとても魅力的なものに見えるかもしれません。
しかし、まずは、既存の取引の履歴を取り寄せるなどして、再計算(引き直し計算)を行い、債務額の減少や、過払い金が発生していないかどうかを調査してみることが大事です。
ご自身では、債務の減額や過払いなんて発生していないだろう、とか、過払いになっていてもたいしたことないだろう、と思われている方の場合でも、長期間の取引があるときには、大幅な減額となっていたり、過払い金が思わぬ額になっていたりすることも少なくないのです。
債務の減額や過払い金があるかどうかの調査は自分で行なうことも出来ます。業者が、「あなたの過払い金は○○○円ですよ」などと教えてくれるわけではないので、これまでの取引履歴の開示を請求し、開示された資料を見て、自分で利息制限法に引き直した計算をする必要があります。
しかし、この再計算自体が面倒ですし、計算の仕方によっても過払い金の額が変わってきますので、過払い金の調査には専門的な知識・経験が不可欠でしょう。
過払い金の有無・額に関する調査は裁判に関する専門知識・経験が重要となりますので、弁護士に債務整理(任意整理)を依頼して、そのなかで過払い金の有無・その額を調査することをおすすめします。
5-2.過払い金が発生した場合
調査の結果、過払い金が発生していることが判明した場合、その借入先に対しては、返済の必要がなくなります。そして、発生した過払い金については、返還請求をすることになります。首尾よく過払い金の返還を受けた場合は、それを使って他社の借金の返済をすることで借金の総額を大幅に減らすことが可能になります。
このような過払い金の返還請求についても、自分で行なうことは法律上可能です。
しかし、以前に比べると金融業者が様々な理屈を付けて支払い額を減額したり、さらに支払に全く応じない場合が増えてきています。
また、過払い金の有無・額に関しては、過払い金利息も含めて、大変多くの裁判上の争点が関係してきますので、弁護士に依頼する必要性が非常に高い分野であるとも言えます。⇒過払い金の利息について
弁護士に依頼しますと、裁判も念頭にいれた交渉が制約なしに可能となるので、過払い金を早期に、また確実に返還してもらえる可能性がその分高くなります。
5-3.過払い金は発生しないで債務額が減少しただけの場合
調査の結果、過払い金が発生しない場合であっても、利息制限法を越える違法利息を支払っていた時期があるときには、再計算(引き直し計算)によって、借金の残高が減るので、返済期間が短くなり、早く完済することができるようになります。
弁護士を通じた債務整理であれば、債務額にかかわらず、将来の返済額や返済期間、金利について交渉してもらうこと(任意整理)が可能です。
6.借金を完済するには
複数社からの借り入れで返済が困難になっている方は、常に借金のことが頭の中にあり、普段の生活や仕事にも悪い影響を及ぼしてしまうことがあります。
また、返済のために借り入れを起こしたりしていると、いつ完済できるかのめどもたたなくなってしまい、経済的にはもちろん、精神的にも大きな負担になります。
確かに、おまとめローンは、そのような負担をいくらか軽くしてくれる効果はあるかもしれません。
しかし、まずは、これまでの取引履歴に基づいた再計算(引き直し計算)をして、債務の減額や過払い金が発生しているかどうかを調査し、借金の総額を減らすことを検討すべきです。
法律全般・裁判の専門家である弁護士に債務整理を依頼し、過払い金の有無の調査だけでなく、過払い金返還請求もきちんと行うことで、借金の総額と借入先の件数を減らすことが借金の完済への近道といえるでしょう。
7.カヤヌマ国際法律事所までご相談を
多額の借金がある場合、おまとめローンという債務の一本化を行う前に、借金額を根本的に見直すという意味で、まずは債務整理を検討する方が良いでしょう。債務整理に強い弁護士に状況を説明しつつ、ご相談いただくのが良いかと考えます。そうすることで、債務額の圧縮や過払い金返還請求を含め、任意整理などの債務整理をすすめていくことができます。
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