個人再生における計画弁済の途中で期間延長して再生計画を完了できた事例

概要

個人再生で270万円ほどの計画弁済を開始して2年ほど経ったところで、仕事を変えた結果、収入が低下してしまった。このため、残務の弁済期間をさらに1年半延長して、計画弁済額の残り90万円ほどを30回払い(2年半)で弁済する計画を裁判所に認めてもらい、その結果個人再生を全うできた事例

相談者

Qさん、50代男性、自営業者。

相談前

Qさんはすでに個人再生手続中で、再生計画で認められた返済総額が270万円ほどの計画弁済を行っていました。当初は3年で返済する予定でしたので、毎月の返済予定額は7万5000円でした。計画弁済を開始して2年ほどたって仕事を変えたところ、かえって収入が低下したため、従前の毎月7万5000円の支払が難しくなりました。

Qさんはせっかく始めた個人再生で残りの計画弁済額を支払い切りたいと考えて、ご相談に当事務所を訪れました。

相談後

ご相談時の残り弁済額は90万円ほどでしたので、これを当初の再生計画では残り1年で完済する必要がありましたが、それでは毎月7万5000円の支払が必要となり、それは無理でした。

しかし、残りの債務を2年半(30回払い)で支払うことになれば月々の支払は3万円ほどで足りるので支払いは十分可能でした。

そこで、残り1年となった返済期間を当初からだと5年間に延長してもうらうよう裁判所の許可を求めることにしました。

裁判所は計画弁済期間の延長を5年間へ、つまり、当初の3年間を実質1年半ほど延長することを許可してくれたので、Qさんは月々の支払が再開できて、当初の再生計画を全うすることができました。

弁護士からのコメント

計画弁済の途中で事情が変わり、従前の計画では弁済を全うできる見通しが立たなくなった場合には、個人再生による解決方法は主として以下の2通りとなります。

・弁済期間の延長
期間延長について裁判所の許可を得ることが条件となりますが、当初の再生計画に従った弁済開始から最大5年間までの期間延長が可能です
Qさんの場合は、ご相談時にはすでに2年間が経過しており、途中で支払がストップしていましたので、再開までに、期間延長の申立て、裁判所の許可、許可決定の確定などの手続に6ヶ月程度はかかりますので、その後の支払可能な期間は実質2年半ほどとなりました。

・ハードシップ免責
計画弁済の4分の3以上を支払い済みであるなど「ハードシップ免責」の要件を満たすときには、残りの支払いを免除してもらう手続があります。Qさんがもし2年半ほど支払をできていれば、この要件を満たす可能性がありましたので、期間延長ではなく、ハードシップ免責を申し立てる方法も検討できたかもしれません。

このハードシップ免責が認められれば、Qさんは残った計画弁済額の支払を免れることができたことになります。

カヤヌマ国際法律事務所の弁護士にご相談いただければ、手続き後に再び債務を抱えてしまった場合の対応策についてもご提案できます。

ぜひ一度メールフォームよりご相談ください。