概要
大学院まで卒業して大手の企業に勤めている給与所得者が奨学金を含めて総額1900万円以上の多重債務者になってしまったケースで、個人再生により300万円を支払い、残りの1600万円ほどを免除してもらって解決した事例。
相談前
Wさんは、大学院まで卒業して大手の企業に勤めている給与所得者です。
大学及び大学院に進学したWさんは、在学中の授業料への支払に充てるため学生支援機構の奨学金を利用しました。奨学金は借金の一種です。Wさんは大学院の授業料まで奨学金を利用したため、その借入額は総額900万円ほどになりました。奨学金の返還は就職するまで待ってもらえるので、在学中の支払負担はありませんでしたが、働き始めると、毎月4万円ほどの支払い負担となりました。
Wさんは働き初めて3年ほどで年収が800万円以上になりましたので、毎月4万円ほどの奨学金の支払いは全く問題にはならないように思えました。そのため、Wさんは結婚して子どもができると、奨学金の支払いについてはそれほど心配することなく、趣味への支出を楽しんだり、家賃も高めの広い住居に引っ越したりしました。その結果、生活費、養育費が次第にかかるようになりました。
いよいよ毎月の出費が増えてきたときに、Wさんは勤務先の都合もあり転職することになりましたが、その転職により年収が200万円ほど下がってしまいました。
その結果、奨学金の支払いや生活費等に不足が生じるようになり、次第にクレジットカード会社や銀行からのカードローンが増えて、奨学金以外の借り入れも1000万円以上になり、借入総額も1900万円以上に膨れてしまいました。
毎月の支払額も20万円を越えるようになり、支払を続けることが困難になったため、当事務所にご相談に訪れました。
相談後
Wさんは、毎月の収入が手取りで45万円ほどありましたので、個人再生であれば債務整理が可能な見込みがありました。Wさんの総債務額はおよそ1900万円ほどでしたが、個人資産がほどんどありませんでしたので、再生計画での弁済額は、総債務額を基準とした最低弁済額300万円で認可され、Wさんは、300万円を返済すればよいことになりました。それまで毎月20万円以上の支払額も8万4000円ほどに減額されました。
その後、Wさんは再生計画を全うすることができて、1900万円以上の借金のうち、1600万円以上が免除されました。
弁護士からのコメント
奨学金が負担になって銀行のカードローンやクレジットカードの借入で生活費や返済資金をまかなっている内に、次第に奨学金以外の借入が増えてしまい、一定限度を超えたところからは返済のための借入の割合が高くなって、最終的に支払不能な状態になってしまう方が増えています。
奨学金が原因で多重債務に陥った方は、多くの場合に給与収入等がある程度見込めますので、債務整理の方法としては個人再生が適している方が多いように思われます。
奨学金のために借金が増えた方はお一人で悩むより、債務整理の専門家である弁護士に早めにご相談されることをお勧めします。
カヤヌマ国際法律事務所の弁護士にご相談いただければ、個別のケースに応じた最適な債務整理方法をご提案できます。ぜひ一度ご相談ください。
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