税金滞納を甘く見ると大変危険!滞納するとどうなるのかを徹底解説

滞納・督促

1.税金はつい滞納しがちになる?

納税は国民としての義務です。この納税義務は、「勤労の義務」、「教育の義務」と並んで、憲法上、国民の三大義務のひとつとなります。

とはいえ、家賃の支払いや公共料金のように、滞納すると生活に支障が出てしまうものや、借金の返済のように厳しい督促があるようなものに比べると、ついつい支払いを後回しにしがちです。

しかし、税金は破産しても免除されませんし、個人再生では減額されません。

近年では時効も発生しないよう管理されています。

また、滞納してしまうと、高率の延納税が発生したり、給与を差し押さえられて勤務先に税金の滞納が発覚したりと、様々な不利益があるのです。

2.税金・公租公課とは?

国や地方公共団体などに対する公的な支払い義務があるものを税金も含めて公租公課といいます。

公租公課のうち、公租が所得税、住民税、固定資産税などの税金にあたり、公課が国民健康保険料や国民年金などに該当します。公課にはそのほかにも様々なものがあります。

税金と言っても、給与所得者(サラリーマン)は所得税や住民税を給与から天引きされる場合が多いので、通常は滞納することなんて無い、と思われるかもしれません。

しかし、マイホームを購入されると、住宅ローンの支払中であっても、所有権は購入者に帰属しますので、不動産を所有することで負担することになる固定資産税(地方税の一種)は毎年相当額が課税されます。

また、年度の途中で転職すると、住民税が一定期間給与から天引きされない場合があり、後からまとめて支払いの請求がくる、という場合があります。

最近ではネットで株取引やFXを行ったり、オークションで物を売って利益をあげたりされている方も多いと思いますが、このような副収入について確定申告を忘れていると、後になって税務署から申告漏れや脱税を指摘されることがあります。

これらの税金等の滞納があると、一般の私的な債権とは別ルートで、すなわち、裁判所の関与なしに、税務署や地方公共団体の徴税部署などが直接滞納者の財産を差し押さえて、売掛金や給料などの債権であれば売り掛け先や勤務先などの第三者から取り立てたり、土地・建物などの不動産や自動車などの動産は公売による売却で現金化したりして、滞納分を直接回収することができます。

国民健康保険料や国民年金なども滞納すると、税金と同様に、国税徴収法・地方税法などに準拠して徴収されるため、注意が必要です。

多重債務者の方が住民税などの地方税を滞納して給与差押を受けるケースが多いので、以下では、住民税や固定資産税などの地方税を滞納した場合を主に想定して解説することにします。

3.税金等は破産・個人再生による債務免除・減額の対象外です

3−1.破産しても税金は免責されない

自己破産をすると、ほとんどの借金はゼロになります。

ところが、破産法253条1項1号は、「租税等の請求権」について免責許可の決定が確定したときでも責任を免れないことを明記しています。

「租税等の請求権」とは税金等の公租公課を意味しますが、自己破産において一般債権は免責されても滞納税金等は非免責債権となるので、支払わなければなりません。

税金等の公租公課は、国や地方公共団体などの運営のためにかかせません。国の予算や国会議員の給与から、地方の様々な行政サービスまで、全て税金で運営されています。

ですから、税金は他の貸付債権等の一般債権よりも優先的に回収できるように、政策的に優遇された法的措置が定められています。

3−2.個人再生でも税金等は減額されない

個人再生においても、税金等の公租公課は全額を支払うことが前提であり、減額の対象とはなりません。

条文上は明記されていませんが、税金等の公租公課は、民事再生法122条1項が定める「その他一般の優先権がある債権」(一般優先債権)に該当すると解されています(条解635頁)。

一般優先債権となる税金等の公租公課は、再生手続によらないで、随時弁済することになりますので(民事再生法122条2項)、計画弁済の対象にはならず、随時支払うことが想定されています。

税金等の滞納額が大きい場合には、計画弁済案を裁判所に提出する前に税務当局と協議して、分割弁済の約束を取り付けておかないと、随時支払うことができないと裁判所に判断されるおそれがあり、そうなると計画弁済の認可がおりないで再生手続廃止となる場合がありますので(民事再生法191条1号)、注意が必要です。

4.税金滞納には高率の延滞税が発生!

税金も他の借金等と同じように、期限までに支払わないと延滞金(延滞税)が発生します。特に、納期限から2か月を過ぎてしまうとその率は14.6%と極めて高率になってしまうことがあります。

前述のとおり、税金は自己破産しても免除されないですし、個人再生でも減額されないことから、いつかは支払わなければならない債務です。

ですから、高率の延滞税が累積して支払額が大きくなってしまう前に対処する必要があります。適切な対応をしないと大変苦しい状況に追い込まれますので、くれぐれも注意が必要です。

税金等の発生に間違いがなければ、とにかく滞納は絶対に避けるべきでしょう。

5.税金を滞納すると直ぐ財産差押え!?

カードローンや消費者金融会社などから多額の借金をしていたりすると、そちらの方の支払いを優先するなどして、ついつい住民税などの支払いを後回しにして遅らせてしまうということはよく生じることでしょう。

しかし、税金を延滞した場合でも、短期間でいきなり財産を差し押さえられるという事態は実際にはまずありません。事前に役所から督促状が郵送されてきたり、電話連絡などが試みられるはずです。

カードローンなどの一般的な貸金業者の場合には、借金等を滞納すると、まず、督促状が届き、それでも支払わないと、債権者から簡易裁判所に対して支払督促を申し立てられたり、地方裁判所に貸金返還請求訴訟を起こされたりする裁判手続が必要となります。

税金等以外の一般の債権の場合は、裁判所を介した法的手続によって、執行宣言付き支払命令や判決などの「債務名義」を手に入れないと、債務者の財産を差し押さえることはできないからです。

しかし、税金等については、法律上、これらの裁判手続なしに納税義務者の財産を差し押さえることができます。

地方税法では、地方団体の徴税吏員は納税者が税金を納期限までに納めない場合には、「納期限後20日以内に」督促状を発しなければ「ならない」と定められています。

さらに、地方税法は、納税者が督促を受けて、督促状を「発した日」から10日後までに税金を「完納」しない場合には、滞納者の財産を差し押さえなければ「ならない」と徴税吏員に対して「命令」しています。

ここで注目すべきことは、差押えができるのは、督促状を「発した日」から10日経過後となっている点です。「発した日」からであって、「届いた日」とはなっていないのです。従って、滞納者が督促状を実際には受け取っていなくとも、住所宛に発送していれば、滞納者の財産を差し押さえることができるということです。

ですから、もし住民票を置いてあるところには実際に住んでいないで、郵便物も受け取らないとか、税金督促の郵便物は届くが中身も見ないで放置したり、役所に税金滞納の状況を説明しないままでいると、ある日突然、財産の差し押さえを受けることになります。

税金の徴収権に基づく差押は、サラ金やカードローンなどの借金滞納と異なり、裁判所からの呼び出しは必要ありませんから、滞納者にしてみると、いきなり給与を差し押さえられたり、銀行口座の預金残高を全額差し押さえられて1円も引き出すことができなくなったりという「とんでもない事態」に直面することになるのです。

6.税金を滞納して勤務先に発覚!

役所は税金の滞納が続くと、納税者の財産差し押さえを検討します。

よくあるのが給与の差押えです。役所は納税者の勤務先の会社に給与の額や支払日等について照会書を送付して調査を行います。通常は、この時点で、会社に、税金滞納が発覚するでしょう。

この照会に対応するだけでも、会社にとっては事務の負担になります。

また、調査の結果、給与が差し押さえられてしまうと、会社は役所に対し、給与の一部を直接支払わなければならなくなり、さらなる事務負担をこうむります。

会社に税金の滞納が発覚しただけでいきなり解雇されることはないとは思いますが、信用を失うことは間違いないでしょう。

また、勤務先に給与差押の対応で事務的な負担などの迷惑をかけてしまいますので、ご自身も会社に居づらくなってしまうこともあります。

ですから、このようなことになる前に税金を滞納しないよう、様々な事情を総合的に考慮して、きちんと対応することが大事です。

7.税金にも時効はあるのか?

税金にも時効はあります。税金の種類や状況によっても時効期間は異なりますが、多くの税金は、納付期限から5年を経過すると消滅時効が完成します。

以前は、役所があまり厳しい督促をしないまま時効になってしまうことも少なくなかったため、放っておけば時効で支払わなくてよくなるだろう、と考える方もいるかもしれません。

しかし、このような役所の対応は、きちんと税金を支払っている人との間で不公平となることなどから、批判の対象となり、近年では、時効で消滅しないように専門部署できちんと管理する役所も多くなりました。ですから、放っておけば時効になると考えるのは、とんでもなく危険です。

市民税を時効消滅させた場合に市長の監督責任を認めた裁判例(浦和地方裁判所平成12年4月24日判決)もありますので、役所が税金を「うっかり」時効により消滅させるような事態は今後まず生じないと想定した方が安全でしょう。

8.税金による差し押え禁止となる給与の範囲・金額について

給与差押えが禁止される範囲(項目)・金額は、一般債権に基づく強制執行の場合と税金の徴収権に基づく場合とでは、全く異なります。強制執行による給与差押え禁止の範囲については、「給与差押え禁止の範囲」をご参照ください。

特に単身者の場合には、税金滞納による差押において、最低生活費の控除が少なくなって、一般債権に基づく強制執行の場合に比べると多額の給与を差し押さえられることがありますので、注意が必要です。

国税徴収法第76条第1項が給与の差押え禁止の範囲及び金額について規定しています。

1号:所得税の額
2号:住民税の額
3号:社会保険料の額
4号:最低生活費
・本人 ~10万円
・生計を同じくする配偶者およびその他親族 ~4万5000円×同居人数
例)滞納者(本人)、妻、子供2人の場合
10万円+4万5000×3=23万5000円
が最低生活費となります。

5号:体面維持費
・体面維持費とは、収入にふさわしい地位又は体面の維持に必要とされる費用を保障する趣旨です。
・体面維持費の計算=【総支給額-(1号所得税+2号住民税+3号社会保険料+4号最低生活費)】×20%
の金額なります。
ただし、この20%相当分が最低生活費の2倍を超えてしまう場合には、その2倍までとなります。

差し押さえ禁止額の計算例を示します。

基本給 400,800円
扶養手当、通勤手当等 50,000円
残業代 30,000円
総支給額の合計 480,800円(但し、1,000円未満切捨て)
→480,000円 …①

 

1号:所得税の額
16,650円(但し、1,000円未満切上げ)
→17,000円 …②

 

2号:住民税の額
25,000円(但し、1,000円未満切上げ)
→25,000円 …③

 

3号:社会保険料の額
健康保険料 7,800円
厚生年金・雇用保険料 34,900円
合計 42,700円(但し、1,000円未満切上げ)
→43,000円 …④

 

4号:最低生活費
滞納者(本人) 100,000円
妻及び子供2人の場合 135,000円=45,000円×3(親族数)
合計 →235,000円 …⑤

 

5号:体面維持費
32,000円 …⑥*
*⑥=(①-②-③-④)×20%(但し、1,000円未満切上げ)

 

差押が禁止される額 : 352,000円 …⑦=②+③+④+⑤+⑥

差押が可能な額 :  128,000円 …⑧=①-⑦

繰り返しですが、強制執行による給与差押え禁止の範囲については「給与差押え禁止の範囲」をご参照ください。

9.差し押さえ後に税金減免の交渉などはできるのか?

税金の滞納により、給与などを差し押さえられて、はじめてことの重大性に気づくことがむしろ普通かもしれません。

滞納者の財産を差し押さえるということは、市役所や町役場の徴税担当者にとってもつらいものがあるはずですが、なにせ、督促状を出しても無視されるし、電話かけてもつながらない、という状況などが続くと、役所としても立場上これを放置することができません。

給与などを差し押さえられると一気に生活が窮迫しますので、差押えを受けた滞納者はあわてて役所に駆け込んで、差押えがいかに生活を脅かすのか訴えることになるでしょう。

しかし、差押えは法律上の手続きに従ってなされるものですし、散々不誠実な対応をされてきたと徴税担当者は考えているはずですから、怒りをあらわにしたり、単に窮状を訴えたりするだけではまず差押えを解除してもらうことはできません。

そうは言っても、税金を滞納してしまった事情・経緯は滞納者により様々でしょう。中には、病気治療のため、長期間、自宅に不在であったというケースもあるかもしれません。

実は、法律上、一定の条件が存在すれば差押えを解いてもらえる場合があります。

地方税法第15条の7第1項第2号は、「滞納処分をすることによってその生活を著しく窮迫させるおそれがあるとき」に該当する事実があると認められる場合には、地方団体の長は、滞納処分の執行を停止することが「できる」と定めています。

滞納処分が停止されると、既に差し押さえがなされた場合にはその差押えを解除しなければなりません(地方税法第15条の7第3項)。

やみくもに窮状を訴えるのではなく、「生活を著しく窮迫させるおそれがあるときに該当する事実」をできるだけ資料をもとにして役所の徴税担当者に伝えるという誠意を示したり、説明に手間をかけたりすることが重要となるでしょう。

ただ、どのような資料を提出すれば滞納処分の執行を停止してもらえるのか、事情は滞納者により様々で異なりますので、「正解」はないのですが、そのような準備・対処をしなければ役所の徴税担当者にしても法律に従った対応が求められる立場にありますので、滞納処分の執行を停止したくてもできない、ということになるのではないでしょうか。

国税徴収法にも同趣旨の規定がありますので(第152条第2項等)、ご参照ください。

10.生活保護を受けると税金は免除される

税金を滞納すると不利益があるといっても、税金を支払うだけの収入がない、という方もおられるでしょう。そのような場合は市町村に生活保護の申請を行うことをおすすめします。

生活保護の申請を行ってこれが認められると、生活保護の支給を受けている間は、生活費や住宅費相当額を受給できるだけでなく、住民税、国民年金保険料、国民健康保険料等は免除されます。

また、所得税については年度末の確定申告を行うことで勤務先から源泉税として控除されていた分が全額還付されます。

これらの税金の支払いが減免されている間に、過去の滞納税金を分割等の方法で支払う約束を取り付けて実行することで、滞納税金をなくして生活を立て直すことが可能です。

11.税金以外にも借金があるときは債務整理を検討

一定の収入があるので生活保護は受けられないけれども、とても支払えないような額の税金の滞納がある場合や、税金以外にも借金があって税金の支払いまでお金を回せない、というような場合は、専門家の力を借りて債務整理を行うことをおすすめします。

これまでご説明したとおり、税金を滞納することは、他の借金を滞納することよりも比べようもなくリスクが高いことは明白だと言えるでしょう。

税金は、放っておけば高率の延滞税もかさんでしまう上、勤務先へ調査が行く、財産を差し押さえられる等といった多大な不利益を被る可能性があります。

しかも、自己破産しても免除されませんし、個人再生でも減額されません。

12.債務整理の相談はカヤヌマ国際法律事務所に

弁護士等の専門家にご相談いただくことで、通常の貸金業者等に対する借金と同様に、税金についても、延滞金の減免や分割支払い等に関する展望が開けるかもしれません。

また、弁護士が代理人として交渉をしている間に、それを無視して給与を差し押さえてくるようなことはほとんどないと言ってもよいでしょう。

ですから、税金の滞納が続いて支払いが厳しくなってきたら、できるだけ早い段階で弁護士に相談されることをおすすめします。カヤヌマ国際法律事務所は、債務整理事件を多数扱っております。

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