過払い金返還請求

過払い金とは

過払い金とは、消費者金融や信販会社から借りた借金の利息を払いすぎていたために発生したお金のことを指します。これはケースによっては、弁護士等に依頼して請求することで返還されるお金です。ただし、請求をしなければ返還されることはありません。

過払い金の存在が疑われるケースでは、弁護士に問い合わせることをおすすめします。

特に、長期間、高金利で借金をしていた方の場合、この過払い金が発生している可能性があります。貸金業者や借入時期によっても異なりますが、「引き直し計算」・「再計算」と呼ばれる計算を行い、払いすぎた分の「利息」を返還請求することが可能です。

過払い金返還請求の流れ

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過払い金が発生するメカニズム(グレーゾーン金利について)

借金の利息については、利息制限法が金利の上限を決めています。この金利の上限は借金の元金により異なります。借入元金が少ないと上限金利は高くなるように設定されています。

  • 借入元金が100,000円未満:年率20%
  • 借入元金が100,000円以上1,000,000円未満:年18%
  • 借入元金が1,000,000円以上:年15%

この利息制限法上の制限金利に違反する利息は無効です。昭和30年代から、最高裁判所はこの理屈を認めてきました。

そうしますと、利息制限法に違反する違法金利の部分はどうなるのでしょうか。それは元金に充当されます。

例えば、貸金業者との間では、50万円を借りた際に、金利を年28%とすることを約束したとします。この約束に従うと、50万円の28%となる14万円の支払いは全額利息ということになりますので、1年間14万円を支払っても、元金は一円も減りません。毎年14万円を5年間の合計で70万円支払ったとしても全額利息ですから元金は50万円のままとなります。

しかし、元金50万円に対して金利を年28%と約束すると、18%を越える10%の部分は利息制限法に違反することになるので無効です。「貸金業者」の中には、弁護士が代理人として登場すると、28%の金利は本人も承知しているではないか、と弁護士に「抗議」してくることがままあります(特に、ヤミ金の場合に多いです。10日で30%、40%の「利息」というケースもありました)。

確かに、借りた人は「約束」をしました。しかし、その約束は利息制限法という強い効力を持った法律(強行法規といいます。)に違反するので、法律上はその「約束」は無効となります。

結局、10%の違反部分は無効ですから、この利息として無効な支払いは元金の支払いとなることが認められます。この計算が「引き直し計算」・「再計算」と言われるものです。

話をわかりやすくするために、単純化して説明します。50万円を借りて5年間、毎年14万円だけを支払ったという取引について(但し、月額払いとします。つまり、毎月1万1800円ほどを支払った場合を想定します)、引き直し計算すると、5年後の元金は9万8000円ほどに減額されます。これは劇的な減額ですね。たった年10%の利息の違いだけで、これだけ元金が減るというのは、一種の驚きではないでしょうか。

1年目における14万円の支払いのうち、無効な10%に相当する5万円の部分は元金への支払いと認められるため、元金は45万円に減額されます。2年目は、この減額された45万円に対して、18%の金利しか認められないため、有効な利息は、8万1000円だけとなり、残りの5万9000円は元金への支払いとなることが認められるので、元金はさらに大きく減額されます。つまり、2年目の支払いが修了した時点で、元金は、

45万円-5万9000円=39万1000円

まで減額されるのです。この39万1000円の元金に対する3年目の18%の有効利息は、さらに14万円からおおきく割り込むことになります。

このように、当初14万円全部が利息の支払いだとされてきたところが、再計算により、有効な利息部分は毎年どんどん縮小されていくことがはっきりします。

途中を省いて、4年目の支払い(48回目)が終わった段階に話を移しますと、この時点での残元金はおよそ21万円まで減額されています。先ほどの50万円の約定残額に比べると30万円ほどの大きな減額となります。さらに1年間14万円を支払うと、そのうち有効な利息はおよそ2万8000円ほどとなりますので、元金の支払いと認められる額は約11万2000円となります。その結果、5年間、毎年14万円を支払うと法律上有効な残元金は9万8000円ほどに減るのです。

借りた方は、28%が約束した金利で、まだ債務は50万円残っていると信じて毎年14万円の「利息」を支払い続けることになりますので、6年目も一生懸命14万円支払います。5年の支払いが終わった時点では残元金は9万8000円ほどしかなく、毎月のおよそ1万1800円ほどの「利息」支払いによりどんどん元金も減っていきます。

実は、6年目の「利息」支払いの途中で元金はゼロになります。69回目の支払い後の残元金は1500円ほどしか残りません。それでも翌月さらに1万1800円ほどの「利息」を支払うと、この時点で過払い金がおよそ1万円発生します。

過払い金が発生するということは、法律上の借入債務はゼロ以下になったということを意味しますから、その後は利息制限法上の利息も一切発生しません。毎月の支払い額がそのまま全額過払い金として上積みされていきます。

さらに、この過払い金を元金として年5%の法定利息が認められるケースが多数あるのが現在の裁判所における取り扱いの実情です。5%の利息は発生しないと主張する貸金業者側の抵抗は大きいですが。銀行の預金利息が実質的にはゼロの時代に、年5%の利息は極めて有益だといえるのではないでしょうか。

こうして、10年間毎年14万円の「利息」を合計140万円支払うと、当初の28%の「約定利息」を前提とする限り、まだ借金は50万円残っていることになっています。

しかし、「引き直し計算」すると、140万円のうち、60万円近くが過払い金となります。借入元金は当然ですが50万円です。これに対する利息制限法の範囲内における有効な利息(貸金業者が取得できる分です)は総額でおよそ30万円です。

確認の計算をしますと、おおよそですが、以下のとおり、

140万円(約定利息)=50万円(元金)+30万円(有効な利息)+60万円(過払い金の元金)

となります。

これでは、貸金業者がたまったものではない、ということで、一定の条件をクリアーする「優良業者」の場合には、利息制限法を超える金利でも有効となる場合を認める法律が昭和58年(1983年)にできました。これが旧貸金業法です。

この旧貸金業法の第43条では、貸付証書や弁済受取書に法令が決めた条項をきちんと記載してあれば、利息制限法を超える利息の支払いでも有効だとみなすという「みなし弁済」が定められていました。利息制限法に違反する高金利でも、一定の条件を満たせば有効とされる場合があるという意味で、利息制限法と出資法の定める金利との間を「グレーゾーン金利」と呼ぶことがありました。

出資法の上限金利は次第に低下してきたという歴史がありますが、旧貸金業法が施行された昭和58年(1983年)以降の出資法上限金利は73%でした(それ以前は100%を超えてました。それ以降も次第に73%→54.75%→40.004%→29.2%→20.0%と減少していきました)。

出資法に違反する場合には刑事罰が定められていましたので、消費者金融等の貸金業者はこの出資法を守っていました(出資法にも違反する「トイチ:10日で1割」、「トニ:10日で2割」「トサン」、「トヨン」、「トゴ」などの超高金利で貸し出すような業者は、当然正規の貸金業登録もしない非合法業者ということで、「闇の金融」、すなわち「ヤミ金」と呼ばれることになります)。

利息制限法を超える金利でも、旧貸金業法が「みなし弁済」を認める規定を置いていたため、利息制限法に違反しても一定の条件を満たせば利息は有効ですし、もし、「みなし弁済」が認められなくとも、出資法に違反しない金利であれば刑事罰のおそれはないので、消費者金融等の貸金業者は、長年、この「グレーゾーン金利」と呼ばれる高金利で貸付を行っていたわけです。この「グレーゾーン金利」はつい最近の平成18年(2006年)の法改正により撤廃されるまで続きました。

そのため、長期間、このグレーゾーン金利で借金をしていた方は、余分な利息を払い続けていた可能性が高いといえるのです。「みなし弁済」が認められるハードルは極めて高く、利息制限法に違反する高金利は無効とされる場合が多くなり、過払い金として超過利息が返還される可能性が結構高いのです。

場合によっては、取り戻した過払い金を他の借金の返済にまわし、それですべての借金を完済できてしまうというケースさえあります。ですから、長年、高金利で借金をされてきた方は、ただちに弁護士に依頼して過払い金が発生していないかどうか確認してもらうことが極めて重要です。後で説明するとおりですが、この過払い金は発生してから、最短で10年間で時効により消滅してしまうおそれがあります。消滅時効は過払い金の返還を求める場面では貸金業者側からよく主張される「抗弁」です。

過払い金には利息が付くことをご存知でしたか?過払い金の利息についてはこちら

過払い金が返還されるかどうかの目安について

既に説明申し上げたとおり、グレーゾーンは撤廃されているため、今後の借入で過払い金が発生することはありません。しかし、過去に取引していた貸金業者との間に過払い金が残っている可能性はありますし、平成18年(2006年)の法改正前から借入をしていて、現在でも借入を継続している方は、途中までに生じた過払い金があることから、現在の借入元金が大きく減額される可能性もあります。場合によっては、過払い金が発生していることもあります。

おおよその目安ですが、平成10年代又はそれ以前から借り入れをしてきた場合は、過払い金が発生している可能性があります。

次に、平成20年代以降になって「はじめて」借入をした場合、貸金業法改正後の借入のため、過払い金が発生している可能性は低くなります。

また、平成10年代又はそれ以前から借り入れをしてきた場合で、かつ、7年以上の長期間の借り入れがある場合には、過払い金が発生している可能性が一般的に高くなります。ただし、正確には借入額や返済額、借り入れ時期等により異なりますので、弁護士にご相談いただくことが必要です。

当事務所では、貸金業者の名称、いつ頃から、いくらぐらい借りたか、毎月の弁済額はおよそ幾らぐらいか、途中で完済したことがあるか、すでに最終的に完済しているかどうか、などのおおよその事情を伺うことができれば、過払い金の発生している可能性を診断できます。その後、受任すれば、貸金業者に受任通知を出して取引履歴を開示してもらい、再計算をすることで、過払い金の有無・額を算定することにしています。

一般的には過払い金の7割前後の額が返還されるケースが多いと聞きますが、当事務所では、法律的に請求可能な元金のみならず、過払い金に付けられる年5%の法定利息もできるだけ回収するように努めています。そのため、訴訟提起となることも多くなりますが、時間や相手方業者の経営状態も見なくてはならないので、依頼者とご相談しながら、事案ごとに進めています。

なお、相手方となる貸金業者が倒産した場合は、過払い金が発生していても回収はほぼ不可能です。大手では、武富士、商工ファンド(SFCG)などがすでに倒産しています。

さらに注意しなければならない点があります。過払い金の消滅時効(期限)についてです。

過払い金が発生した場合でも、最後の取引(通常は最後の支払いとなります)から満10年を経過すると貸金業者側の過払い金返還債務について消滅時効が完成します。すでに完済しており、取引が終わっている場合は、特にこの消滅時効に注意が必要です。

すでに述べたところですが、過払い金は黙っていては返還されません。まずはお早めに弁護士に相談しましょう。

過払い金返還請求のメリット

1.借金が減額されるあるいは完済できる

余分に払い続けていた分の過払い金によって、元本自体を返済できるケースもありますし、現金として返ってくるケースもあります。借金でお困りの方は、まずは過払い金が発生していないか確認することをおすすめします。

2.完済していればブラックリストに載らない

完済していれば、ブラックリストと呼ばれる個人信用情報機関には登録されないことになっています。2010年4月に、「契約見直し」情報の登録が廃止されています。そうすると、既に完済した金融機関相手のみに過払い金返還請求をすることは、ブラックリストは気にしなくて済みますので、「安全に」行うことができることになります。

過払い金返還請求のデメリット

1.完済していないとブラックリストに載る

完済していない状態で過払い金返還請求をすると、個人信用情報機関に登録される(何らかの事故情報として登録される)ケースがあります。信用情報機関によって対応が異なっているようです。

2.過払い金返還請求後、その貸金業者からの借入が難しくなる

ブラックリストに載らなければ基本的には借入は可能ですが、実際にはその貸金業者とは取引が出来なくなるリスクは高いでしょう。

3.銀行の保証会社になっている金融機関からの借り入れが、過払い金返還請求後できなくなることがある

基本的には過払い金返還請求後でも銀行からの借り入れは可能ですが、その銀行の保証会社に対して過払い金請求をした場合は、取引が出来なくなることがあります(例:アコム、プロミス、オリコなど)。

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