会社の債務整理

はじめに

大企業の経営者、代々続く伝統のある企業の幹部、中小企業の社長さんなどマネージメントの方々は、会社の将来や従業員の労働環境、得意先のビジネスや資金繰りなどについて日夜頭を悩ませていらっしゃることだと思います。会社の債務整理の場合などは尚更でしょう。

ここで説明させていただくのは、会社の「債務整理」についてです。縁起でもないテーマではありますが、少しでも不安や悩みの解消になれば幸いです。

とかく会社が危機に瀕しているときは、マネージメントの方々は、無理をしがちです。なんとしても会社を建て直さなければならないという思いから資金繰りのために銀行に奔走し、支払いや返済を1日でも遅らせてもらえるように得意先に頭を下げる日々。

しかし、少々力を抜いてお付き合いください。もしかしたら、必要なヒントがここにあるかもしれません。

会社の債務整理について

「倒産」という言葉をよく耳にします。正式に法令上定義された「倒産」という用語はありませんが、一般的には、「資金繰りができず営業の継続が困難な状態」をさしています。

倒産処理にはいくつかの種類があります。手続きの観点からは、法的整理と私的整理があります。法的整理は、裁判所の監督下において法的手続として行われる倒産処理で、私的整理は、裁判所が直接には関与しないで、債権者・債務者等の当事者間の合意に基づいて支払いの猶予や減免が行われるものです。

また、目的の観点からは清算型と再建型に分けられます。

清算型では、会社の全ての資産を処分して債権者に配当し事業を廃止します。

再建型では、会社の資産を残しながら経営改善を図り事業継続を目指します。

会社経営が行き詰まり、会社が支払い不能・債務超過に陥っていて、どうにも事業継続の見込みが立たない場合には、清算型で整理を行うことになります。裁判所の監督下において行われる破産手続が適正・公平で安定しているのでおすすめできる方法です。

会社破産とは

会社の破産とは、資金繰りがつかず金融機関への返済や仕入れ先への弁済が不能である、あるいは、従業員の給料を払えないなど、債務(借金・負債)の返済ができないような経営状態であり、これ以上会社の経営を継続することが困難な場合に、破産法という法律に従って会社を清算する倒産手続きです。個人の場合は自己破産と呼ばれますが、その会社版です。

会社の破産手続を開始できる場合には、「支払不能」と「債務超過」の2つがあります。

「支払不能」とは、債務を弁済する能力が欠乏しているために、弁済期の到来した債務を弁済することが一般的・継続的に不可能である客観的状態をいいます。この支払不能状態かどうかは、会社の債務額、資産、営業、経営者・従業員の状況など様々な事情・状況を裁判所が総合的に判断して決定しています。

債務の支払いを一般的かつ継続的に停止することを「支払停止」といいます。この「支払停止」は直ちに「支払不能」を意味するものではないと説明されますが、「支払停止」があると通常は「支払不能」であると推測されるので、「支払停止」であることを証明できれば、これに反する事実がない限り、「支払不能」であると裁判所に認めてもらえることになります。

例えば、手形の不渡りが発生し、銀行取引が停止になると直ちに資金繰りは破綻することが普通ですので、銀行取引の停止は「支払停止」に該当するといえるでしょう。また、会社の代表者が夜逃げをして連絡先も不明だとか、会社が債権者に今後一切支払いできないことを通知したような場合も、支払停止であるといえるでしょう。

「債務超過」とは

債務額の総計が資産額の総計を超過している状態です。例えば、会社の現金・預貯金・売掛金などの総資産が1,000万円しかないのに、借金や買掛金が2,000万円もあるような状態です。このような状態が一時的なものではなく、ある程度持続性を有する状態であることが必要です。

会社が「支払不能」または「債務超過」の状態に陥ると、通常の営業を行うことが困難になり、経営者は資金繰り・返済・取立に追われることになります。

万策尽くしてもどうにもならず精神的にも追いつめられると、自殺や夜逃げを考える経営者の方が少なくありません。

しかし、自殺や夜逃げをしても債務が消滅するわけではなく、責任者が会社からいなくなることで、会社も債権者もますます混乱に陥るでしょう。

状況を悪化させないためにできること・すべきこと

このように支払不能等の状態にある会社が破産を申立て、破産手続が開始されれば、後は裁判所が破産管財人を選任して、法的に会社財産を換価・処分し、債権者には公平に分配することで、破産手続が進みます。

その間、経営者は債権者からの直接の取り立て行為の矢面に立つことはなくなりますので、自殺や夜逃げなどをする必要もなくなります。会社破産の手続を弁護士が受任しますと、債権者からの取立が禁止され、月々の返済も停止され、債権者は破産手続を通して債権の弁済を受けるほかに手立てはなくなります。

但し、不動産に抵当権を付けているなど、債権者が担保権を有する場合は、担保権の実行をして、一般債権者に優先して弁済を受けることができます。

破産をすると債権者に迷惑をかけると考えて破産することに引け目を感じている経営者の方もおられると思いますが、債務を弁済できない状態がずっと続けば状況はさらに悪化し、従業員や債権者にさらに大きな迷惑をかけることになります。

さらに状況が悪化すると、破産を申し立てるための費用すら出せない状況になりかねません。そうなると法的にきちんとした手続をとることさえできずに事実上放置されたり、一部の債権者だけが取り立てたり、弁済を受けたりするなど、他の債権者にも迷惑を及ぼすことになります。そのような迷惑を最小限になる形をとることこそが、経営者としての最後の責務であるといえます。

そのためには適切なタイミングで決断することができる勇気が必要です。あと100万円あればと友人・知人から借金をしたり、保証人になってもらったりしているうちに事態が余計に悪化していくケースを数多く見てきています。少なくとも破産申立てのための費用が残っている間に専門家に相談すべきなのです。

当事務所にご依頼いただければ、ご依頼社の状況を詳細にヒアリングしたうえで、その時点で取り得る最善の方法で破産申立を実現致します。債権者の方に対しても公平かつ誠実に対処しつつ、破産申立を実現します。

会社破産のメリット

1.債権者からの取り立てが事実上ストップ

当事務所が受任すると、原則として、できるだけ速やかに各債権者に対して受任通知を発送し、支払停止を通告します。

以後は、全て当事務所が窓口となりますので、債権者は通常ご依頼社に対して取り立てることをしなくなります。実際に、督促の電話や通知がなくなる場合が多いので、経営者の方は精神的に非常に大きな安堵感を得られます。

2.負債の処理

会社の破産手続が開始されると、会社の資産・債務は破産管財人が調査したうえで、裁判所と協議しながら債権者集会で報告し、最終的には資産、財産を換価処分して現金化できた限度で債権者に公平に分配するしかありません。

債務全額の弁済はできないことが想定されたまま破産手続は進みます。途中で配当原資となる資産がないことが判明すれば、破産手続はそこで廃止となり終了します。

配当する資産があれば、配当後に手続は終了します。いずれにせよ、最終的には裁判所が破産手続の終結を決定し、公告等の諸手続を経て、会社は消滅します。会社の法人格そのものが消滅しますので、税金などの公租公課も支払う必要はなくなります。

3.経営者の再出発

経営者にとっては、毎月の資金繰りの悩みからも解放され、再出発の準備に専念できるようになります。

どうにもならない状況で苦しみもがくよりも、一度解放されて新たな出発をするほうがはるかに生産的です。経営者にしてみれば、債権者の取り立てからも解放されるので、別世界に生きるような実感が持てるのではないでしょうか。

会社破産のデメリット

1.会社の消滅と信用の失墜

会社の破産申立をして、裁判所が破産手続開始決定を出した時点で会社は解散しますので、原則として営業は継続できなくなり、債権者への支払いもストップとなります。その結果、会社としての取引先、信用を失うことになります。

また、破産手続が廃止や配当により終了したとき、会社の法人格が消滅します。

2.会社の財産の処分と従業員の解雇

破産手続のプロセスにおいて、会社の資産、財産(現金・預貯金・売掛債権・自動車・不動産など)は全て換価・処分され、債権者に分配されます。また、最終的には従業員全員を解雇することになります。

3.経営者も破産手続等が必要

経営者が金融機関からの会社借入について連帯保証をしていることが通常ですが、このような場合には、経営者も破産手続を行い、自宅や自動車などの個人財産を処分しなくてはならないことがあります。

ただし、破産手続終了後、他の会社の役員になること、破産した会社と同じ事業を個人事業主として続けることに法律的な制約はありません。

まとめ

債権者や取引先、従業員に混乱をきたさないためにも、経営が悪化した時点で、できるだけ早いうちに対応策を考える必要があります。

もし、万が一会社の破産を考えなければならないような事態に陥った場合は、どうかこのサイトを思い出してください。

そして、一人で頑張ってしまい決断を先延ばしにすることで、かえって関係者とのトラブルや無用の労力を増やしてしまう前に、是非当事務にご相談ください。経験とノウハウを蓄積した当事務であれば、ご一緒に準備をしながら納得のいただけるような解決策をご提供いたします。

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