借金問題・債務整理は司法書士ではなく弁護士に依頼すべき理由

債務整理入門

○債務整理を司法書士ではなく弁護士に依頼すべき理由とは?

債務整理は、自分で行うことは大変難しい手続です。相手はプロの貸金業者ですし、場合によっては裁判所での手続が必要になりますから法律の専門知識も必要になります。したがって、債務整理をしようとする場合には、専門家に依頼するのが通常です。

では、債務整理を依頼すべき専門家は誰になるのでしょうか?債務整理の専門家というと弁護士を思い浮かべることが多いと思いますが、最近は司法書士も債務整理に関する広告やCMを盛んに行っています。

そこで、債務整理を依頼すべき専門家についてまとめてみます。

1.債務整理を依頼できる専門家

債務整理に関する専門家としては、すでに触れたとおり、弁護士と司法書士が考えられます。

ご承知のとおり弁護士は法律の専門家ですから、法律問題である借金問題について取り扱うことができるのは当然です。また、自己破産や個人再生などの債務整理手続は裁判所で行われますから、もちろん弁護士の守備範囲に入ります。

では、司法書士はどうでしょうか。一般には、司法書士というと登記の専門家という認識を持っている方が多いのではないでしょうか。もともとは、司法書士は土地建物などの不動産登記や会社に関する商業登記などの登記に関するスペシャリストです。こと登記手続に関しては、一般的には弁護士を凌ぐ知識を持っているといってよいでしょう。

ただ、平成14年に司法書士法が改正され、司法書士のうち、所定の研修を受けて法務大臣の認定を受けた司法書士(「認定司法書士」といいます。)は、簡易裁判所で扱うことのできる訴訟の目的の価額が140万円までの民事事件を取り扱うことができることになりました。

本来、弁護士でない者が報酬を得る目的で法律事務を取り扱うことは弁護士法72条で禁止されており、これに違反すると刑事罰が科されます。債務整理もこの「法律事務」に含まれますから、弁護士の資格を持たない者が債務整理などの法律的なことがらの委任を受けることはできないのが原則ですが、低額の民事事件に限っては、依頼する側の利便を考慮して、弁護士だけでなく司法書士にも取り扱う権限を認めることとされたのです。この権限に基づいて、司法書士も債務整理を扱うことができるようになったわけです。

なお、法律関係の資格として、行政書士という資格もありますが、行政書士には認定司法書士のような制度はありませんので、行政書士が債務整理を受任し取り扱うことはできません。

2.弁護士と司法書士の違い

では、弁護士と司法書士とは具体的にどのような違いがあるのでしょうか?何かできることに差があるのでしょうか?

先ほど触れたとおり、司法書士が事件について依頼を受けて代理する場合には、取り扱うことのできる金額に140万円という制限があります。なお、この140万円の制限の意味については最近最高裁判所の判決が出ましたので、この後詳しく説明します。

また、司法書士について裁判所での代理権は簡易裁判所でのものに限られ、地方裁判所、高等裁判所、最高裁判所での代理権はありません。

他方、弁護士の代理権にはこのような金額や裁判所による制限はありません。これは、弁護士は司法試験という法律全般を対象とする資格試験に合格し、裁判所、検察庁及び弁護士会などでの実務研修を経た上で再度最終的な実務試験に合格して得られる資格であり、民事、刑事及び家事事件全般にわたる裁判手続の専門家であって幅広い法律的な知識や実務経験があるのに対して、司法書士はこのような試験等を経ておらず、あくまで登記などの手続に関する専門家であるからです。

したがって、債務整理の金額が140万円を超えてしまう場合には、司法書士ははじめからこれを取り扱うことはできませんし、簡易裁判所の判決に対して上訴され、事件が上級裁判所である地方裁判所、高等裁判所、最高裁判所に移った場合にも代理人として引き続き関与することはできません。

また、破産や個人再生などの手続は地方裁判所での手続になりますので、債務の額にかかわらず司法書士が手続を代理して行うことはできません。

3.平成28年(2016年)最高裁判決について

ここで、司法書士の取り扱うことのできる限度額である140万円の意味について述べておきます。

これまで司法書士会などは、債務整理における140万円の意味について、「債務整理の対象となる債務の元本額」ではなく、「債務整理によって依頼者が得る利益の額」を意味すると捉えてきました。

例えば、

  1. (1)高利での借り入れをしていた人について利息制限法所定の利率に基づく計算のやり直しをした結果、返済すべき額が減った場合には、その「減った金額」が140万円の範囲内であること
  2. (2)過払い金が発生した場合には、「過払い金額」が140万円の範囲内であること
  3. (3)返済計画を分割払いによって変更した場合には、「返済総額の減少額」が140万円の範囲内であること

などを意味するものと捉えていました。

ところが、最高裁判所平成28年(2016年)6月27日判決がこの140万円の捉え方に関する重要な判断を示しました。この判決は、債務整理の対象となる個々の債務額が140万円を超える場合には、認定司法書士はその債務に関する和解について代理することはできないと判示しました。

上記判決は、その理由として、

「認定司法書士が裁判外の和解について代理することができる範囲は、認定司法書士が業務を行う時点において、委任者や、受任者である認定司法書士との関係だけでなく、和解の交渉の相手方など第三者との関係でも、客観的かつ明確な基準によって決められるべきであり、認定司法書士が債務整理を依頼された場合においても、裁判外の和解が成立した時点で初めて判明するような、債務者が弁済計画の変更によって受ける経済的利益の額や、債権者が必ずしも容易には認識できない、債務整理の対象となる債権総額等の基準によって決められるべきではない。」

と述べています。

少し長くなりましたので、簡単にまとめますと、司法書士が依頼を受けて債務整理を開始する時点では、「債務整理によって依頼者が得る利益の額」はわからないので、それを140万円の基準とすることはできないが、「債権債務の価額」は誰が見ても当初から客観的にわかるからそれを司法書士が扱える事件かどうかの基準とする、ということです。

この最高裁判決が出たことにより、司法書士の扱える限度額である140万円は、「債権債務の元本の額」を基準にすることが確定したといえるでしょう。

したがって、今後は、元本額が140万円を超える債務の整理については司法書士が委任を受けることはできなくなります。

なお、この最高裁判決によると、複数の貸金業者に対する借金について債務整理する場合の「140万円を超える債務」とは、整理する債務の「元本額の総額」が140万円を超えないということではなく、「個々の業者に対する債務の元本額」が140万円を超えないということになります。つまり、複数の債権者の債権額を合計すると140万円以上になるが、1つ1つの債権者の債権額は140万円を超えない場合には、司法書士は債務整理の委任を受けることができることになります。

4.弁護士に依頼するメリット・デメリット

では、弁護士に依頼する場合と司法書士に依頼する場合とで、それぞれどのようなメリット・デメリットが考えられるのでしょうか?

(1)弁護士は法律や裁判手続の専門家

まず、弁護士はもともと法律全般に関する専門家ですから、裁判手続に精通し、広い法律的な知識・実務経験を有しています。債務整理の場面でも、その幅広い法的知識・経験が生かされます。任意整理でも過払い金返還請求でも、裁判外の和解交渉は裁判という手段をとれるかどうかで交渉力に影響が生じます。

また、債務整理の過程で訴訟手続への対応が必要になることが多々あります。こちらから過払金返還請求訴訟を提起することもあれば、逆に貸金業者から貸金返還請求訴訟を提起されることもあります。その場合に、弁護士に依頼していれば、安心してそのまま訴訟手続を進めて行くことができます。

さらに、弁護士は債務整理事件のみを扱っているわけではありません。日々多種多様な民事・家事事件を多数扱い、時には刑事事件を受任することによって、さまざまな交渉の場面を経験しています。貸金業者との交渉においてもその経験は生かさることが多いことでしょう。

また貸金業者側からすると、弁護士は司法書士よりも強敵であるとのイメージがあり、その点でも弁護士は司法書士よりも交渉の上で一般的に優位に立つことができるではないでしょうか。

(2)司法書士には受任できる事件の範囲に制限がある

先ほど詳細に述べたとおり、司法書士には債権債務の額が140万円を超える場合には受任できないという制度上の大きな制限があります。数件の債務を抱えている人が債務整理をしようとする場合、そのうちの1件でも債務額が140万円を超えている場合には、その業者との間の交渉については司法書士には依頼できません。

また、140万円を超えない金額の過払い金について、司法書士が代理人となって簡易裁判所に過払い金返還請求訴訟を提起することはできますが、この訴訟の控訴審は地方裁判所で行うことになりますので、判決後にいずれかの当事者から控訴があった場合には司法書士が引き続き代理することはできなくなってしまいます。その場合には、控訴審から別途弁護士に依頼する必要性が生じるということになるでしょう。

さらに、任意整理ではなく、自己破産や個人再生による債務整理をする場合には、司法書士はその手続に関して依頼者の名前を表示した書面の作成を行うことはできますが、代理人として手続に正式に関わることはできません。これらの手続で裁判所に出頭する場合には、依頼者本人のみで出頭することになります。これには大変な手間と労力が伴います。

弁護士には、このような金額や手続による制限はありませんので、債務整理の全てについて委任することができますし、裁判所での手続も代理してもらえます。もっとも、裁判所への本人出頭が求められる場合には、ご本人にも裁判所へ出向いていただく必要がありますが、弁護士は法廷内まで同行できます。

(3)司法書士に依頼すると余分な費用や手間が掛かるおそれ

司法書士に債務整理を依頼した場合には、先ほど述べたように、控訴審から弁護士に委任せざるを得なくなる可能性があります。

また、債務整理の方向性を検討した結果、自己破産や個人再生を行うこととなった場合には、書面の作成のみしかしてもらえないことになるかもしれません。

このような場合に、初めから弁護士に依頼していれば、司法書士に掛かる分の費用を節約できたり、手続の全てを委任することができたりすることになります。

また、東京地裁において個人再生の申立を行う場合には、すべての申立案件について裁判所は個人再生委員を選任する扱いとなっています。

弁護士が申立代理人のときは、個人再生委員の報酬金は15万円となりますが、本人申立の場合にはこの報酬金が25万円となるのが原則的な運用です。司法書士が申立書を作成しても、代理人となることはできないので、本人申立とならざるを得ません。よって、この場合における個人再生委員の報酬金は25万円となる扱いです。つまり、司法書士に申立書類の作成を依頼して申し立てた場合にはさらに10万円の負担が増えるのです。

司法書士よりも弁護士の方が、費用が掛かるのではないかと考えている人もいるようですが、債務整理に関してはさほど違わないようです。ですから、費用を理由にして司法書士に依頼することで、かえって高くつくことが多いのではないでしょうか。

5.まとめ

債務整理を委任する専門家としては弁護士と司法書士がいますが、以上に見たとおり、司法書士ではなく弁護士に依頼する方がメリットが多く、むしろ弁護士に依頼するデメリットは一般的にはないといえるのではないでしょうか。

債務整理を依頼する場合には、安心な弁護士への依頼をお勧めします。

6.債務整理はカヤヌマ国際法律事務所にお任せください!

少し長くなりましたが、上記に見てきたように、債務整理は弁護士に依頼することが基本となります。

東京都新宿区(四谷三丁目)にある当カヤヌマ国際法律事務所は、債務整理の経験豊富な弁護士が直接依頼者の方とお会いして丁寧に債務整理を進めて参ります。わからないことがあれば、ご遠慮なく何でもおたずねください。丁寧に説明いたします。

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